グローバルネット企業への変革に挑むリクルート。本短期連載では、巨人・リクルートが抱えるジレンマ、そしてその先を見据えた「IT化」「グローバル化」をみていきたい。
前回は、「隠れたネットの巨人」、リクルートの現状について伝えた。今回は、リクルートが抱える“ジレンマ”に迫ってみたい。
リクルートがおそれる? イノベーションのジレンマとは
リクルートの主要事業は依然好調だ。リクナビなどの人材メディア事業、SUUMOやゼクシィなどの販促メディア事業、人材派遣事業、いずれも2014年3月期増収、EBITDA(「営業利益+減価償却費+のれん償却額」)も増加。リクナビ、ゼクシィなどは依然業界トップレベルを誇る。ネット全盛の時代になっても、リクルートの事業は一見、盤石にみえる。
だが、リクルートホールディングスで人事統括室・室長を務める今村健一氏の見方は違う。
「いつ大波が来るかわからない。危機感を持っている。現状はとても調子がいいし、まだ成長の余地はあるが、安心はしていない。『イノベーションのジレンマ』における破壊的な競合相手がグローバルレベルでどんどん出てくるだろう。そのため早めに手を打たないと」。
今村氏が口にした「イノベーションのジレンマ」とは、ハーバード・ビジネス・スクールの教授、クレイトン・クリステンセンが提唱したもの。顧客の声に耳を傾け、製品・サービスの向上を持続的に続ける優良企業が、既存の事業構造を破壊するような新興企業の新技術・新サービスの成長に直面し、衰退してしまうという理論だ。
リクルートが衰退するなんてありうるのか。いま少し、「イノベーションのジレンマ」についてみてみたい。
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