リクルートは"自らの限界"を超えられるか? 迫る「破壊的競合」を前に、隠れた”巨人”は…

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たとえば、ITエンジニアのための実務スキル評価サービス「CodeIQ」。リクルートの新規事業提案制度「New RING」から生まれたソーシャル系のサービスだ。ユーザーが自分の技術レベルを知るために、企業の第一線で働くITエンジニアからの出題に解答して評価を受け取る。出題者である企業のエンジニアをうならせたユーザーは面会もできる。「リクルートが持つ既存の転職サイト「リクナビNEXT」の競合にもなりうるサービスとして、仕掛けている」(今村氏)。

リボン図の壁を越えろ!

従来の成功パターンであるリボン図にとらわれない新規事業にも挑戦する。

リクルートホールディングスで人事統括室・室長を務める今村健一氏

「社内では、『リボン図の壁を越えろ』と言っている。リボン図のカスタマー(ユーザー)とクライアントの重なり合う部分は見なくていい。カスタマー(ユーザー)、クライアントどちらでもいいので、とにかく数を集めるサービスを考えてみろ、と。ここを新しい事業開発の勝ち筋のひとつと置き始めている」(今村氏)。

第1に、カスタマー(ユーザー)重視のサービス。

リクルートでは数少ないユーザー向けのB2Cサービス、オンライン予備校「受験サプリ」は、受験生の2人に1人が使う人気サービスだ。無料で大学入試の過去問題をダウンロードできるうえ、月額980円払えば、人気カリスマ講師の全講義がネット動画で受け放題。予備校や塾の市場にとっては、破壊的イノベーションになる可能性を持ったサービスだ。ビジネスモデルとしては、小中学生向けの講座や、社会人向けに英会話や料理など、学習プラットフォームとしても展開できる。

次にクライアント重視のサービス。BtoBモデルとして、「Airレジ」というサービスを展開し始めた。専用アプリをインストールすると、iPadなどのタブレット端末やスマートフォンがPOSレジになる。今、話題のO2O(オンライン to オフライン)サービスのひとつだ。初期費用も月額費用もいっさい無料で、従来のPOSレジ市場にとっては、破壊的なサービスだ。

2013年11月に提供を始め、2014年3月下旬 からは、モバイル決済サービス「Square」と連携。POSレジ、クレジットカード決済など、これまでコストなどの問題で導入を見合わせていた小規模の飲食店などにとっては、画期的なサービスと言える。3万軒を超える店舗などが活用している(2014年3月時点)。リクルートの武器である営業とITの相乗効果を出すことで、そのほかのネット企業のO2Oサービスと差をつける。店舗のレジ、商品管理、決済などの業務をきちんと把握して、リアル店舗に提案できる人材を生かすという。

あらゆるネット企業が、リクルートのライバル

ビジネスの主軸がネットに移った今、もはや何がリクルートの競合になるのかわからなくなっている。逆に言えば、どんな企業でも新しいライバルになりうるということだ。

B2Cで言えば、ユーザーを大量に抱えるフェイスブック、LINEなどのソーシャルメディア系の企業。クライアント側を大量に押さえているB2Bサービスでは、顧客・営業管理などのクラウドサービス「セールスフォース」、人事システム「SAP」などが考えられる。

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