リクルート、成長加速の"3段ロケット" 10月16日に上場へ、時価総額は1兆円超え
「『リクルートの強みは何か』ということをあらためて自問自答し、考え尽くした数年間でした。その結果たどり着いた答えが分社化、株式公開を目指す、さらにはグローバルに大きく舵を切るの3点です」――。
2012年8月、週刊東洋経済の特集「リクルートの正体」のインタビューで峰岸真澄社長はこう述べていた。1点目の分社化は同年10月に実施。グループ全体の成長戦略策定とその実現に集中するため、リクルートを持ち株会社として会社分割を行い、社名を「リクルートホールディングス」に変えた。
そして2点目が今回の株式公開だ。9月10日、東京証券取引所は同社の上場を承認。上場日は10月16日を予定しており、公募の新株発行と自己株処分による資金調達規模は800億円近く。上場後の株式数と想定発行価格から計算した時価総額は1.6兆円と、今年最大規模の株式上場となりそうだ。
調達資金の使い途は?
この資金使途について、リクルートは一部を借入金の返済に充てるほか、「長期ビジョン実現のための成長投資に充当する」と説明している。長期ビジョンとは、2020年をメドに人材メディア事業と人材派遣事業で世界トップになること、さらに2030年をメドにグループ全体が提供するすべての事業領域で、世界トップのプラットフォームを展開する企業になるというもの。
株式公開で手にする資金は、競争力の強化に向けたシステム投資や、事業基盤を拡大するためのM&A資金に充当する。これが3点目の「グローバルに大きく舵を切る」につながるのだろう。
1960年に江副浩正氏(13年に死去)が大学新聞に企業の求人広告を掲載し、学生に求人情報を提供する「大学新聞広告社」を創業したのがリクルートの始まり。今では連結子会社119社、関連会社9社(14年7月末)を抱える。連結ベースの総資産は約8600億円あり、売上高は約1.2兆円で純利益が654億円。地域別でみると日本の売上高が8割近くを占め、残りの約2割強はほとんどが北米という構成になっている(いずれも14年3月期)。
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