「ゼクシィ」の隙を突く、式場予約の革命児 「すぐ婚navi」、エイチーム最年少取締役加藤厚史氏に聞く
日本では1年間に約70万組のカップルが結婚している。そのカップルが式を挙げるホテルやゲストハウスなど式場の情報提供や、予約の仲介などで他の追随を許さないのが、リクルートの結婚情報媒体「ゼクシィ」「ゼクシィnet」だ。長年に渡って培ってきたブランド力を生かし、圧倒的なシェアを握っている。
結婚式場は、およそ1年前から予約をしなければ間に合わないと言われ、近年は挙式することを嫌うカップルも増えている。ここにチャンスを見出したサービスが、「半年以内の式場探し」をコンセプトに、結婚市場の検索・予約・情報を提供するサイト「すぐ婚navi」(以下「すぐ婚」)だ。大幅な値引きと組み合わせた独自サービスを売りに、2008年10月のサービス開始から、提携する結婚式場は首都圏を中心に650カ所まで拡大。今や「すぐ婚」を通じて、年間1万件弱のカップルが予約するまでに成長した。
「すぐ婚」を手掛ける名古屋のネット企業、エイチームは、スマートフォンゲーム「ダークサマナー」が大ヒット中だ。今期(2013年7月)は年間売上高100億円の大台到達が見込まれる、ネット業界の注目株でもある。
そのエイチームが手掛ける「すぐ婚」が、新しい勝負に打って出た。今年2月、サービスの運営体をエイチームから切り離し、「すぐ婚」ビジネスを専業とする新会社A.T.brides(エイティブライズ)を設立したのだ。4月には新オフィスに移転し、本格的に営業を開始した。
エイティブライズのトップを務めるのが、エイチームで取締役を務める加藤厚史氏。年齢は31歳と、エイチームの取締役の中で断トツに若い。エイチームきってのエース、加藤氏が率いるエイティブライズは、どんな戦略を描いているのか。
「グッチ」でもアウトレットならブランドを毀損しない
――「すぐ婚」の特徴は?
「1組でも多くのカップルに“理想の結婚式”を挙げるきっかけを」という理念でサービスを展開しています。結婚式場には1年先の予約は入るけども、当日までが残り半年を切ると予約がなかなか埋まらないという悩みがあります。式場は固定資産ビジネスなので、空けておくよりも、多少値段を下げてもできるだけ稼働させたい。たとえば午前挙式が入っているときは、午後の予約を埋めたいという要望があります。そこに目をつけました。
式場に関する媒体情報は、リクルートの「ゼクシィ」が圧倒的です。しかし、ゼクシィが「すぐ婚」と同じようなサービスはやりにくい。というのも、(高級ファッションブランドの)グッチが割引するのと同じで、ブランドの毀損になります。一方で、グッチでもアウトレットモールに出店すれば、割り引く理由が明確なため、ブランドの毀損にはなりませんよね。
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