ぜいたくすぎる! やきものの釘隠
扇型の小さなやきものは、建物の釘の頭を隠す釘隠(くぎかくし)。降矢哲男研究員は、「実際に使われていたもので、裏に接着剤と見られる漆が付着していました。日本には見えにくいところにまで凝って、意匠を楽しむ文化があったのです」と語る。
小さいけれど手間のかけ方は半端ではない。素焼きしてから透明な釉薬をかけて本焼きし、その上に色絵具と金を焼きつけている。色絵具と金は同時に焼きつけられないので、最低4回は窯に入れているそうだ。赤、緑、金が鮮やかに残っている。
作者は京都の陶工、野々村仁清(ののむらにんせい)と伝えられている。
「日本でやきものに絵柄が入ったのは、桃山時代の志野茶碗が最初でした。絵付けをしたやきものを大成したひとりが野々村仁清です。桃山の文化が終わり、江戸の文化が本格的に始まっていく時期に、仁清や尾形乾山が活躍しました。中国のやきものを写す一方で、日本的な要素を入れ、少しずつ和様化していきました」
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