戦国時代の甲冑が生んだ、超絶アート クワガタから竹の子まで、とにかくリアル

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今にも動き出しそうな蛇やカマキリに見入る人もいれば、本物そっくりの竹の子に驚きの声を上げる人もいる。三井記念美術館で7月13日まで開催中の「超絶技巧! 明治工芸の粋(すい)」では、作品の細部を見ようと展示ケースにおでこをぶつける人が続出。ガラスを拭く係りの人が大忙しとなっている。

なかなか目にする機会のない、技巧をこらした工芸品が並ぶこの展覧会を、学芸員の小林祐子さんに案内していただこう。

260個の鉄パーツで、自由自在

明珍 《蛇》 清水三年坂美術館蔵

首をもたげたこの蛇は、生きている蛇のように体を自在に動かすことができる。260個の鉄のパーツをつないで作られているのだ。

「少しずつ大きさを変えた円筒形のパーツを鋲(びょう)で止めています。パーツが多ければ多いほど細かな動きができるわけです。ガチャガチャという感じではなく、しっぽの先まで引っかかりなく、なめらかに動きます」

と小林さん。これは「自在」置物と呼ばれるもののひとつで、ルーツは戦のとき身につける甲冑にあるという。

「作者の明珍は、室町時代から甲冑を作っていた職人集団です。日本の甲冑は、西洋の金属板を使ったものとは違って、体の動きに合せて動くように、鉄製の小さなパーツをつないで作られていました。パーツをつなぐ技術を応用して、甲冑師が余技として始めたのが自在置物だったのです」

つまり、戦乱がなくなり、甲冑の需要が減った江戸時代、甲冑師が金工の技を生かして、火箸、風鈴などとともに作ったのが始まりらしい。昆虫や龍を写したものもある。

「おそらく大名家の世継ぎが動かして遊んだのでしょう。最高級のおもちゃです。大人も楽しんだのではないかと思います」

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