京都の「お宝名画」を見に行ってみた!

画家たちの「すさまじいこだわり」を発見

下絵とは思えない完成度の高さだが、「下絵は何段階か描くもので、これは最終段階。次に本画(ほんえ)を描いたと考えられます。下絵は筆が走るから、生き生きとした描写になるのです。室町時代を代表する水墨画が『天橋立図』とすれば、桃山時代を代表するのは長谷川等伯の『松林図屏風』で、どちらも下絵。下絵がその時代の代表作というのは、ちょっと複雑な気持ちになりますね」

恐ろしいほどに細かい描写

次は京都の夏の風物詩、祇園祭を描いた『祇園祭礼図屏風』。金箔をふんだんに使ったきらびやかな屏風(びょうぶ)には、祭のハイライトである山鉾の巡行を中心に、にぎわう町の様子と4841人もの人物が描き込まれている。祇園祭を題材にした絵は数多くあるが、その中でも指折りの作品だと福士雄也研究員は言う。

画像を拡大
『祇園祭礼図屏風』(右隻)6曲1双 江戸時代 17世紀 京都国立博物館蔵 10月13日まで展示

「恐ろしいほどに描写が細かい。これだけ多くの人を描きながら、着ているものも表情も一人ひとり違います。すべての山鉾が見えるように描かれ、当時の祭が正確に記録されているのも見どころです」

画像を拡大
『祇園祭礼図屏風』の左下を拡大したのがこちら。恐ろしいほど細かく描かれている

画面の上方を流れるのが鴨川、左側の大きな通りが四条通だ。高瀬川も見える。鴨川にかかる四条の橋は、幕末まで簡素な板の橋だったそうだ。橋の向こうに芝居小屋があり、その奥の八坂神社には神輿(みこし)が待機している。

「山鉾は寺町通を南に、松原通を西に巡行します。そのルートを絵の中に再現するために、松原通をギュッと手前に曲げて、寺町通と並行に描いています」

作者は京都の絵師、海北友雪という説もあるが、ひとりではとても描き切れないので、複数の人がかかわったと考えられている。発注者は京都所司代の板倉重宗とされる。目を凝らせば凝らすほど、いろいろなものが見えてきて、時間を忘れる作品だ。

次ページ贅沢の極み
ライフの人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • 新型コロナ、長期戦の混沌
  • 世相をリアルに映し出す 流転タクシー
  • ポストコロナのメガ地経学ーパワー・バランス/世界秩序/文明
  • 賃金・生涯給料ランキング
トレンドライブラリーAD
人気の動画
イオン「フジ実質買収」で岡田会長が語った未来図
イオン「フジ実質買収」で岡田会長が語った未来図
採用担当者が嘆く「印象の悪い就活生」の共通点
採用担当者が嘆く「印象の悪い就活生」の共通点
ヤマト独走に待った!佐川・日本郵便連合の勝算
ヤマト独走に待った!佐川・日本郵便連合の勝算
ヤマダ、社長離脱でにわかに再燃する「後継問題」
ヤマダ、社長離脱でにわかに再燃する「後継問題」
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
私大トップ校の次の戦略<br>早慶上理・MARCH・関関同立

受験生確保や偏差値で高い水準を誇る関東・関西のトップ私大13校。少子化や世界との競争といった課題に立ち向かうための「次の一手」とは。大きく揺れる受験動向や、偏差値や志願倍率と比べて就職のパフォーマンスが高い大学・学部なども検証します。

東洋経済education×ICT