ヤフー小澤流は、「渋いギタリスト」を目指す 小澤隆生×瀧本哲史 対談(下)

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ヤフー本社の会議室フロア入り口にて

瀧本:BtoBの営業力は最終的には強いと思いますよね。

小澤:そうですね。BtoBに強ければ、絶対に潰れない会社になります。商材なんて、その時々で選べばいい。いい商材を扱えば、BtoBは本当に固い。

僕はそういうことを考えるのが、ものすごく好きなんですね。ただですね、これが本当に世の中のためになるか、とも考えるわけですよ。「生きる目的ってなんですか」とか「何がしたいの」と聞かれると、いつも「いや、特になくて」って答えている(笑)。「このパズル解けないだろう」とか「このクロスワードってすごくないですか」と言われると、そのたびに最高のチームそろえて、最高の頭脳そろえて、「解けました、はい次!」という人生で、俺、このまま死ぬのかな、と(笑)。

そんな僕にとって、高い目線を持った人と一緒に働くことは、本当に重要だなと思っています。孫さんが描いているように素晴らしい世界を、僕自身が考えられたらいいんでしょうけど、そうなれないんだったら、一緒にやらせていただくというのが一つの道なのかしら、と。

ただ、自分の仕事の結果としてでき上がってきたもの、例えばプロ野球チームが去年優勝して、みんなが喜んでいる、そういうものを見ると、いいものをつくるお手伝いはできたのかな、と思うわけです。最終的にはやっぱり三木谷さんの判断ですから、私ではないわけですが、お手伝いできるのはやっぱり楽しい。

言ってみれば、バンドみたいなものです。シンガーソングライターとしてピンでやるのはちょっと難しそうだけど、できればシンガーの後でギターをやって、たまにはちょっとソロも、みたいな(笑)。

目立ちたいという意欲は全然ない

瀧本:基本的にはシンガーが主役なんだと。

小澤:そうそう。でもギターがいないとコンサートできないじゃないですか。で、バンドの移籍もたまにする。ビートルズからローリングストーンズに来た、みたいな感じですね(笑)。いいギター弾きであれば、いい曲が最終的により多くリンクされるし、必要としてくれるバンドがあるなら、そこへ行きますと。それはもうドラムとか、いろんな人とアンサンブル、調和が重要ですよね。自分もやっぱり舞台の上には立っているので、それなりの満足感も得たい。でも目立ちたいという意欲は全然ない。僕自体がお客さんに対して注目を浴び続けたいというつもりはないけれども、楽曲がずっと残って多くの人が楽しんでくれたら、すごくうれしいなという気持ちはあります。

瀧本:職人肌のギタリストですね。貴重なお話をありがとうございました。

(構成:圓岡志麻、撮影:尾形文繁)

瀧本 哲史 エンジェル投資家

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たきもと てつふみ

京都大学客員准教授、エンジェル投資家。東京大学法学部を卒業後、東京大学大学院法学政治学研究科助手を経て、マッキンゼーに入社。3年で独立し、日本交通の経営再建などを手がける。その後、エンジェル投資家として活動しながら、京都大学では「交渉論」「意思決定論」「起業論」の授業を担当し人気講義に。「ディベート甲子園」を主催する全国教室ディベート連盟事務局。著著に『僕は君たちに武器を配りたい』『武器としての決断思考』『武器としての交渉思考』がある。

【2019年8月16日18時00分編集部追記】2019年8月10日、瀧本哲史さんは逝去されました。ご逝去の報に接し、心から哀悼の意を捧げます。

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