とはいえ、大手企業が8月に採用を始めるのであれば、5~6月から始めればいいだけです。したがって、このエリアの企業は、後ろ倒しの影響をほとんど受けないと考えられるのです。
「中堅・中小・地方企業」が最も悪影響を受ける
「中堅・中小・地方企業」が、今回の就活後ろ倒しで最も悪影響を受ける企業群です。このエリアに分類される企業として、便宜上「中堅・中小・地方」企業を挙げましたが、業界トップ企業でも、従業員何千人の大企業でも、在京の企業でも、学生からの人気がなければこのエリアに区分される可能性はあるので、誤解しないように注意してください。
今回の就活後ろ倒しで、これまでも早い段階から採用活動(または採用に直結したインターンシップ)を実施していた外資系企業やメガベンチャーに加え、学生から人気の高い大手企業もリクルーターを上位校に派遣したり、インターンシップを強化したりして、正式な採用活動開始以前に優秀な学生にアプローチする動きを活発化させることが予想されます。
もちろん、「中堅・中小・地方企業」も対抗して、リクルーターを送ったり、インターンシップを募集したりして、早期に学生へのアプローチを開始しなくはなりません。しかし、学生からの人気が高い企業と異なり、このタイプの企業の場合、企業側がアプローチしたとしても、学生がそれに応えてくれないという問題が残ります。
なんといっても、学生が行きたいと思っている人気企業が盛んにリクルーターを派遣したり、インターンシップの募集をやっているので、採用ブランド力の劣るこのタイプの企業がいくらアプローチしても、相手にしてもらえない可能性が非常に高いのです。
それでも、ある程度の規模が大きい会社はまだマシです。本当に事態が深刻になりそうなのが、採用のための予算に乏しい中小企業です。
中小企業では、募集広告を派手に打ったり、マンパワーを活用したりして学生にコンタクトする採用活動力が、大手に比べて圧倒的に劣るため、基本的には対抗する術がありません。
中小企業の場合、大手が説明会を開催しているうちは、自社で会社説明会を開催しても学生が集まってくれないことを経験上知っています。そのため、これまでも自社の採用活動は、大手の活動が終了してから実施していました。つまり、中小企業の場合、大手と採用の時期をずらし、最初から大手の採用選考にもれた候補者にターゲットを絞ることで、自らすみ分けをしていたのです。
これまでは6月に大手の選考が終わった後、9月末まで猶予があったのですが、今回の就活後ろ倒しで、大手が終わる9月末近くまで採用活動を待たざるをえません。結果として、多くの中小企業は、10月1日の正式内定解禁日以降も、採用活動を継続しなくてならなくなると予想されます。
また、就活後ろ倒しの影響で、採用ブランド力の弱い大手や中堅企業など、ある程度規模の大きい会社も、大手人気企業の選考からもれた候補者を対象に、2次・3次の募集を行うと予測されます。中小企業の場合、これらの企業と真っ向勝負をしては勝ち目がないので、これらの企業の採用活動が終了するまで、さらに待たなくてはいけなくなります。
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