就活「後ろ倒し」、笑う悪質企業、泣く中小企業 就活「2016年問題」で得するのは誰か?

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企業は4つのタイプに分けられる

企業も学生同様、2つの軸を使って4つのタイプに分けることができます。

ひとつ目の軸は、学生から見た就職先として、人気が「ある」か「ない」かです。人気が「ある」か「ない」かは、例年、新卒採用の募集をかけた際に、特にリクルーターなどを使って学生へ積極的なアプローチをしなくても、質の高い候補者が十分な人数、応募してくれているか否かで判断します。

ここでいう「人気」とは、あくまでも学生が自分の就職先として、「入社したい」と考えているかどうかだけで決まります。たとえ東証1部上場の企業で、業界最大手であっても、学生の間で認知度が低く、毎年、新卒採用の応募者を集めるのに苦労しているような企業は、人気が「ない」に分類されます。

2つめの軸は、「後ろ倒し」で変更になったスケジュールを順守「する」か「しない」かです。第1回で説明したとおり、2016年度採用では水面下での採用活動を行う企業が増えると考えられますが、ここではあくまでも就活後ろ倒しのルールに対する表向きのスタンスを分類の基準とし、水面下での活動の有無は考えないこととします。

今回の「後ろ倒し」は、あくまでも経団連などの経済団体が勝手に決めた身内のルールでしかありません。ですので、経済団体の会員企業は順守「する」ほうに分類される一方、経済団体に属していない外資系企業やベンチャー企業には、そもそもこのルールに従わなくてはいけない理由がありませんので、順守「しない」ほうに分類されます

以上の2つの軸を利用してマトリクスを作ると、企業を以下のように分類できます。


人気ある×順守する:日本の伝統的大企業
人気ある×順守しない:外資系・メガベンチャー
人気ない×順守する:中堅・中小・地方企業
人気ない×順守しない:不人気大量採用企業

次ページ「日本の伝統的大企業」が不利になる
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