就活「後ろ倒し」、笑う悪質企業、泣く中小企業 就活「2016年問題」で得するのは誰か?

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それぞれのタイプの企業が、今回の就活後ろ倒しでどのような影響を受けるのか、解説していきましょう。

「日本の伝統的大企業」は不利になる

「日本の伝統的大企業」には、学生からある程度人気があり、毎年、予定人員を確保できている、経団連など経済団体会員の大手企業の多くが分類されます。これらの企業は、今回の就活後ろ倒しで、程度は軽いですがマイナスの影響を受けると考えられます。

今回の就活後ろ倒しで、採用広報の開始時期が3カ月間遅くなりますが、このタイプの大手企業の場合、オープンエントリーからだけでも十分な数の応募が見込めます。

また、採用選考に関しては、2カ月間と期間が短いため、面接のアポイントメント調整などが慌ただしくなるなど、採用担当者の負荷が増えますが、とりあえず計画どおりの人数を確保することの難易度は、これまでとさほど変わらないのではないかと考えられます。

しかし、何も心配しなくていいかというと、そんなことはありません

なぜなら、もし何の対策も打たずに、ルールどおりの採用活動を素直に行ってしまうと、これまでより質の低い学生しか採用できない可能性があるからです。

今回の就活後ろ倒しは、採用担当者の間では大きな話題になっており、各社とも、新卒採用に関しては例年以上に神経質になっています。そのため、第1回で説明したとおり、多くの企業が表向きはルールに従って採用活動をやっていないように装いながら、水面下で優秀な学生につばをつけようと動き出すのはまず間違いありません。

このような水面下の動きを起こすのは、経団連など経済団体会員社の大手企業でも例外ではなく、特定の業界に固有のものでもありません。うかうかしていると、優秀な学生はすでに全員、ライバル企業の「お手つき」状態になっていたということになりかねないのです。

「外資・メガベンチャー」はほとんど影響を受けない

一方、「外資・メガベンチャー」は、今回の就活後ろ倒しの影響をほとんど受けないと考えられます。

もともとこのタイプの企業は、これまでも学生が4年生になる前の1~2月に、早々に内定を出して、大手企業の採用選考が終わるまでつなぎ留めるという採用の仕方をしていました。

しかし、今後は大手が内定を出すのが8月に後ろ倒しになるので、これまでどおり、大学3年の1~2月に採用をすると、8月まで、自社の内定承諾者が他社に行ってしまわないようにフォローする必要が生じます。その間は、たとえば内定者研修を実施したり、実需がなくてもあえて学生でもできる仕事を用意してアルバイトさせたり、頻繁に呼び出して親睦名目で食事をおごったりと、実に手間のかかることをやらなくてはいけないので、採用コストが増えることが予想されます。

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