さて今日のご相談の回答を終えました段階で、紙幅がまだありそうです。信子さんが常日ごろ強調し、この日も繰り返しここで絶対付け足すべきだと私に念を押したことを、述べさせてください。
信子さんのこれまでの長いキャリアは、産婦人科勤務一筋です。「オギャー」の瞬間に喜びに包まれるあの現場を経験すると、他では働けないことを知ったといいます。そんな彼女の職場への情熱や産婦への関心は並みではありません。
そこで彼女が知ったことは、ママになる人の食事の貧しさだったといいます(もちろん大半ではないでしょうが)。「袋を開けてレンジでチンとすれば、味もそこそこで食べられるものが簡単に手に入る時代でしょ。昔はお袋の味だといえば“お母さんの手作りの味”を指したけれど、今は正真正銘の“袋の味”になったのよ」。
「そんな人がママになると、子供に丁寧に手作りのものを一日3食、毎日毎日作るのはとても大変な仕事となるのよ。第一そのような食習慣は、良いお乳を出すためにも絶対良くないし。だから私は言うの。ママになる人自身が食べる買い物から、ママの愛は始まっているのよ」と。
おっぱいの話は奥が深い
信子さんの話は続きます。「お乳のお話はとても奥が深いのよ。赤ちゃんが一生懸命にママのお乳を吸うことで、あごや脳の発達と心にまで繋がっているの。それなのに、(お乳の出が悪いならまだしも)形が崩れるのが嫌だという理由で、最初から哺乳瓶にする人がいるのよ。『母乳で育てた子ほど強いのよ』といっても聞いてくれないの」。
ますます話が脱線しますが、私の知人で、出産直後に養子縁組で養父母に育てられた人がいます。健二さんといいますが、戦後まもなくの昔の話です。
彼は可愛がられて裕福に育ちましたが、20歳直前に自分が養子だと知りました。それからは実父母が知りたいと、彼の実父母探しが始まりました。そのことに協力的でない養父母に反抗したり薄情になったりして、養父母を悲しませること数年でした。
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