倉林:あと政府にお願いしたいのは、起業家教育です。これは伊佐山さんも昔からおっしゃっていることですが、起業というのは博打ではなく、教育することでリスクをマネージャブルにできるものです。しかし、それが日本ではまだ伝わっていない。もちろん起業にはリスクがあるけれど、ちゃんとVCから調達すれば、起業家側はそれほどリスクはないものです。そういったアントレプレナーシップに対する教育がもう少し必要ですね。
でも今の大学の先生に、本当にそういう実務を教えられる人がいるのかどうか。いないなら、外からそういう人をきちんと当てるべき。こういうことを政府にお願いするのがいいのかわかりませんが、何かやってほしいと思います。
仮屋薗:今、日本の技術ベンチャーの分野は成長途上にあって、まだ成功事例が少ないので、他分野でのベンチャー経営成功体験を持った人を投入してはどうでしょう。技術がわかるエンジニアと、大学の先生と、お金だけがドンと入っていくと、全員素人になってしまう。日本のVCも技術系ではあまり成功した例がないので、多様なアプローチで試行錯誤していくべきだと思います。この点についてはどうですか?
必要なのはビジネスプロデューサー
伊佐山:今はものづくりブームで、みんな日本にもチャンスがあると言っていますが、ベンチャーと大企業では、大きなギャップがあると思いますね。確かに日本企業はものづくりに強いし、いまだに世界的に高い水準を維持している。ところがベンチャーでものづくりに成功した企業は少なくて、まだ大企業主導なんですよ。
大学発ベンチャーファンドと組んで、要素技術などに対してお金を払うと言ったときに必要なのは、やっぱりビジネスプロデューサーでしょう。大事なのは、ビジネスとしてちゃんとゴーイングコンサーン(事業継続)できるかどうか。ビジネスモデルに噛ませることができるかを真面目に議論できる人が半分ぐらいいないと、大コケすると思いますね。
だからもう、僕らのようなプロを利用すればいいと思いますよ。僕らは慈善事業でビジネスをやっているわけじゃないけど、別に政府と競争するわけではないので、せっかくの政府の資金が生かされるような支援はさせてほしい。僕らが役に立ったら、政府は今後は民間に委託して、そこの投資にマッチングしていくような投資の流れにすればいい。
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