仮屋薗:距離感は大事だと思います。独立をするときは、背水の陣でかからないと絶対ダメになるんですよね。だからそのときの出資のシェアが大事。半分以上出してあげるなんて当然ダメ。せいぜい10%、15%ぐらいが適切じゃないでしょうか。
伊佐山:そこは意識しています。気づいたら子会社扱いだった、では意味ないし、「いつでも戻れる」という甘えになるのもいけない。そこの微妙なバランスが大事だと思います。
さて、最後のテーマですが、政府のベンチャー支援についてです。今は政府のファンドも増えているし、大学でも文科省の予算でファンドをつくっているし、安倍首相をはじめいろんな大臣もベンチャーを成長戦略として位置づけています。実は最近シリコンバレーにも、日本の大臣や自治体の長が良く来ているんですよ。
「政府が口出しするな」とバッシングするのは簡単なので、それはナシにして、逆に今、政府にやってほしいことは何かありますか。
政府は何をするべきなのか
仮屋薗:日本は残念ながらネットバブル崩壊以降、VC産業も、ベンチャーのコミュニティも、孵化しきれなかった時代が10年以上続きました。今、起業家がすごい勢いで増えていますけど、まだ足りないし、われわれVCもまだまだ足りない。ですから勢いをつけることも重要なのですが、でもやはりここで大事なのは、お金の使い方についてのしっかりとしたポリシーとガバナンスです。使うことに意味があるわけではなくて、知見のある人にちゃんと渡すようにしていただけると嬉しい。お金と人材は、かなり集中投下すべきだと思います。
倉林:同感ですね。正しい人に正しいお金が行くことが大事だと思いますね。日本ではだいぶお金のサプライが増えてきて、ひょっとしたら起業家が欲しい金額より多いぐらいですから、あとはそれが正しいところに向かうようにするだけでいい。そのためにはVCや、お金を預かる人のジャッジが重要になってくる。せっかく来たお金が間違ったところに行ったために失敗事例が増えると、せっかくの起業家支援の動きが鈍ってしまうかもしれません。
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