40~50代こそ、ベンチャー成功の適齢期 【特別鼎談】起業を盛り上げるためのカギとは?

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伊佐山:年長者は経営は素人だとしても、ワザを持っていたり、何らかの人脈や知恵はある。若い人は海外のMBAに行ったりして、一応経営のロジックはわかっているけれど、ワザと経験を持っていない。双方のエゴを傷つけずにそれぞれのよさを引き出すのは、もしかしたらVCの大きな仕事かもしれません。

仮屋薗:それにはうまくイニシアティブをとって、社外役員や監査役をバランスよく選任する必要があるでしょうね。私たちは投資先の社外役員や監査役員を2〜4名選任しますが、そのときはいわゆる経営者としての経験、法務、財務の知識、それから専門的技術など、いくつか軸を持って選任していきます。

年長者のメンタリティを傷つけないということも大事だし、経営者が人間的にも成長していけるように、うまくチームを組成するのが鍵ですね。

子会社の社長経験者がうまくいく

伊佐山:僕もいろんな国籍、年齢の人と会っていますが、70歳でも80歳でもベンチャー経営ができるような人はいます。体力の問題はあるかもしれませんが、気持ちの面では年齢はあまり関係ない。シリコンバレーにも本当に元気なおじいちゃんは多いし、日本なんか、もっと元気な高齢者が多いような気がする。

ただ大企業においてそれなりのキャリアを持っている人は、当然プライドが高い。それとベンチャーとのギャップをどう埋めるかですね。

仮屋薗:私の経験では、これまで大企業出身でうまくいったのは、子会社の社長を務めた経験のある方です。親会社の社長はエスタブリッシュな別世界なのでまた違うのですが、子会社のトップを務めたことのある方は、酸いも甘いも嚙み分けた実力のある方が多い。親会社との距離の取り方とか、子会社の社員の気持ちとか、いろんなことをわかっている。

伊佐山:僕たちは、子会社やベンチャーに出向していた人が、本社の経営に戻って最終的には本社の社長になるような構造をつくりたいと思っているんですよ。

なぜそう思ったかというと、うちの出資者であるソニー、日産の経営陣に変化が起きているから。今までは、「半沢直樹」じゃないけど子会社に行くのは片道切符だった。でも最近、子会社に行っていた人が、本社の経営のコア層に 戻っているんですよね。

やはり日本の大企業が変わるためには、経営のマインドを変えなければいけない。そのためには子会社の社長とか、ベンチャー的な立場を経験した人がもっと経営陣に加わるべきですよ。

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