40~50代こそ、ベンチャー成功の適齢期 【特別鼎談】起業を盛り上げるためのカギとは?

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伊佐山:たとえば子会社では一流の人は採用できない。だから今いる人たちで、どうやってパフォーマンスを上げるかを考えるしかない。これはまさにべンチャーの置かれた状況そのものです。そこで成功した人が本社の社長になるというモデルを、もっといろんな大企業でつくっていくべきです。今まではずっと本社で一番波風を立てずにやってきた人が社長になると言われていましたけど、「少なくとも経営陣の半分は出戻りや外部の人にする」というふうにすれば、本当に実力のある人が経営のトップになる。

仮屋薗:そうですね、複線人事でね。

伊佐山:ところでセールスフォースでは、大企業の人材をどういうふうに評価しているのか、興味がありますね。CEOのマーク・ベニオフさん自身、オラクルの社員だったのが、ある意味、中年脱サラで始めたわけでしょう。そうすると、やはりそういう人を応援するようなところがあるんですか? 大企業でもがんばればできるんだ、みたいな。

辞めた社員の起業を応援する文化

倉林:たぶん大企業だからどう、という感じでは見ていないでしょうね。やはりどういうバックグラウンドで、どういうインダストリーに強いかで見ると思います。

アメリカでおもしろいのは、例えばうちの社員がスピンアウトしてベンチャーを作ったとすると、そこに出資したりするんですね。最近もうちが買収したBuddy Media(バディ・メディア)の社員が一旦うちに来て、それでまた辞めてスタートして、そこにうちが出資する、というようなことがありました。大企業もベンチャーも両方経営したことのある人がぐるぐる回っている。すごくダイナミックです。

伊佐山:辞めた会社から出資してもらえるというのはいいですね。そこが今の日本の大企業の社員がベンチャーに取り組むときのキーかもしれません。というのも大企業の社員がベンチャーをやることになって一番心配するのは、本社の人ともう一生会えなくなることだったり、「お前は裏切り者だ」と言われて干されたりすることだったりするから。

でも辞めても本社との関係が維持できて、人脈も切れず、なんとなく親戚関係が続くのは日本的でやりやすい。やっぱり全然関係ないベンチャーに行くのって、心理的にもハードルが高いんですよね。なので僕が今、意識しているのは、親会社と一緒に新しい会社をつくること。そうすると結構ハードルが下がります。

倉林:いいと思いますね。たとえ独立して辞めることになっても、自分のいた会社に恩返ししたいと思っている人は多いはずですよ。親会社もその人が在職中、どういうふうに活躍していたか知っているので、そこに親会社が出資する。そういう成功例が生まれると、自然な人の流れができるような気がします。

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