ビジネス会議に起業家予備軍が集う理由 グロービス経営大学院の田久保善彦研究科長に聞く

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7月5日から2日間、京都国際会館で行われたグロービス経営大学院のビジネスイベント。過去最大規模の約900人が参加。本会議では前原誠司衆議院議員らが登壇した。
ベンチャー育成に関する政府の後押しもあり、ビジネスパーソンを対象としたイベントは花盛りだ(関連記事「いつか来た道?ベンチャー支援が乱立」)。そんな中、グロービス経営大学院が毎年開催する在校生向けのビジネスイベント「あすか会議」は、今年で10回目を迎えた。奈良市の旅館「飛鳥荘」で第1回目が開催されたこのイベントは、ブームとは一線を画し、地道に回を重ねてきた。
グロービスでは2003年に非学位のMBAプログラムを開講し、06年にグロービス経営大学院を開学した。プログラムの開講から現在まで卒業生は1415名。卒業生の中からはベンチャーを含めた有力な経営者や幹部らが生まれており、その有志らが毎年の会議に参加している。昨年は1996年にグロービス・マネジメント・スクールを受講した、LINEの森川亮社長も参加した。数多くのビジネスイベントが存在する中、あすか会議はどのような役割を果たしているのか。グロービス経営大学院の実務トップ、田久保善彦研究科長に聞いた。

 

――イベントを開催するきっかけは何だったのか。

グロービス経営大学院学長の堀(義人)が卒業生や在校生と話し合い、「質の高いビジネスイベントをやろうよ」というノリで始まったのがきっかけだった。昔は大学院自体の規模が小さかったので、1回目の参加者は70~80人程度。今回行ったセッションの一部屋分にも満たないような規模だったが、参加者は年々増え続けている。

――ベンチャーブームと言えるほど大型の資金調達や新規上場が増えている中、関連したイベントも増えている。それらとの違いは。

慶應義塾大学卒業、同大学院理工学研究科修了。スイスIMDのPEDコース修了。三菱総合研究所を経て、2003年にグロービス入社。現在、グロービス経営大学院及びグロービス・マネジメント・スクールで企画・運営業務、研究等を行う。ベンチャー企業の社外取締役、NPO法人の理事も務める。

セッションの内容だけ切り出せば、東京でやっているカンファレンスと変わらないかもしれない。ただ、そこに来ている人たちの問題意識がほかのイベントと比べて大きく違う。参加費は1人5万円で、交通費、宿泊費を別途負担する必要があるにもかかわらず、この規模の人数が集まっていることからもわかる。参加者の“熱量”が、ほかのイベントにはない特徴だ。

私自身、さまざまなカンファレンスに参加しているが、何かそれを模倣しようと思うことはいっさいない。

面白くないと感じるとしたら、勉強が浅いから

――あすか会議の具体的なカリキュラムは?

開催日の前日に学生のおよそ半分が会場の京都に入り、今回は何を学ぶべきかというディスカッションを始める。翌朝10時から、卒業生や在校生で目立ったメンバーを1人呼び、10人くらいで「リーダーズディスカッション」を1時間20分行う。そして、午後からは本会議が始まる。夕食後に1時間半行われる「ナイトセッション・ナイトキャップ」では、学生が本会議の登壇者を10人くらいで囲んで話しを聞く。

「イベントがつまらなかった」と言う参加者がいたならば、「面白くなかったのは、お前の勉強が浅かったからだろう」と議論し合う雰囲気がある。著名な経営者(今年はカルビー会長兼CEOの松本晃氏、ロート製薬会長兼CEOの山田邦雄氏など)や政治家が登壇してくれるのも、参加者の熱量が伝わっているからだろう。

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