婚活の「最後の砦」結婚相談所の知られざるウラ側 「婚活疲れ」になる前に知っておきたい現実

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この点はハッピーカムカムの峰尾さんも同意する。会員と密にコミュニケーションを取り合っているような「気合の入った」相談所には、好条件の自社会員情報を個別に伝えることもある。お見合いから成婚退会に至るまでの相談所同士のやりとりがスムーズで、会員のためになるからだ。一方で、業界内での評判が悪い相談所とのお見合いはできるだけ避けていると明言する。

「お見合いが決まったとしても、レスポンスが遅かったりして調整に時間がかかってしまうからです。そういう相談所は交際に発展しても会員様をサポートしなかったりします。私たちは会員様からのクレームには耐えられます。仕事ですから。でも、気合の入っていない相談所から受けるストレスには我慢できません」

地方はどうか

ハッピーカムカムと最短結婚ナビは東京都心の結婚相談所である。地方はどうなのか。愛知県の三河地方で10年前から結婚相談所「マイウエディング」を営む尾崎敦子さんは、特に難しい条件の会員がいるときに相談所同士の人脈を活用すると語る。

「難しい条件というのは年齢ではなく宗教であることが圧倒的に多いです。連盟のプロフィールには宗教名を書く項目がないので、相談所仲間に『(宗教が)●●の人はいる?』と聞いたりします」

その宗教は家族で信仰することが当たり前だからだ。他に、心身に障害や大きな持病がある場合は、システムではなく手組のほうが向いていると尾崎さんは指摘する。国内にいくつか存在する「連盟」は、会員の年齢や所得の層に特色がある。別の連盟に加盟している相談所と交流することで会員の出会いの幅を広げられる効用も手組にはあるのだ。

手組などの交流の場は仲人同士が教育をし合う機能もある、と尾崎さんは語る。しかし、コロナ禍によって目先の利益のために結婚相談所を開設する企業や個人が急増し、しかも交流できないのでマナーが悪化しているという。

「『お見合いから3カ月後には成婚退会する』といった独自ルールを設けている連盟もありますが、それを鵜吞みにして、『ルールをご存じですか?』と新人仲人がベテラン仲人を注意するようなことも起きています。そんな建前論で成婚が決まるわけがありません。システムを3日に1回しか見ず、連絡がすごく遅い相談所もあります。交流会でマナーを教わる機会がないからです」

結婚相談所は会員に各種の証明書の提出を求めるため、本気で結婚したい人ばかりが集まる。そして、多くの場合は、経験豊かで頼れる「エージェント」であるカウンセラー(仲人)がこまごまとお世話をしてくれる。やはり婚活の「最後の砦」と言っていい。

しかし、連盟というシステムを利用するだけで結婚できるのは一部にすぎず、断られたり断ったりを繰り返しての婚活疲れに陥りかねない。そこで頼りたいのがカウンセラーの「人間力」。システムには記載されないけれど重要な情報はたくさんある。結婚相談所に入会するならば、業界内の信頼と人脈からそんな情報を仕入れられるところを選びたい。掘り出し物のような異性と出会えるか否かはエージェントの能力と人柄次第なのだ。

大宮 冬洋 ライター

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おおみや とうよう / Toyo Omiya

1976年埼玉県生まれ。一橋大学法学部卒業後、ファーストリテイリングに入社するがわずか1年で退社。編集プロダクション勤務を経て、2002年よりフリーライター。著書に『30代未婚男』(共著、NHK出版)、『バブルの遺言』(廣済堂出版)、『あした会社がなくなっても生きていく12の知恵』『私たち「ユニクロ154番店」で働いていました。』(ともに、ぱる出版)、『人は死ぬまで結婚できる 晩婚時代の幸せのつかみ方』 (講談社+α新書)など。

読者の方々との交流イベント「スナック大宮」を東京や愛知で毎月開催。http://omiyatoyo.com/

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