激変、異変!2022年「日本で注目の街」の共通点 毎年恒例!「ゆく街・くる街」に選ばれた街は?

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

だが、富士見町は賃貸住宅のない地域でありながら、ポストにチラシや名刺を配布してまで空き家を探して所有者に接触、価格交渉から契約まで(実際には移住後も)伴走するという不動産会社顔負けな対応をしている。それを支えているのがJR中央線富士見駅駅舎にオフィスを構える移住相談担当の富士見ウツリスムステーションだ。

「2019年の人口推計では富士見町の人口は2045年まで年167人減り、同年に1万人を切ることに。分析すると年約200人が亡くなり、誕生は約80人なので自然減で約120人。それ以外に50人ほどが流出するので、ここを抑えて自然減をカバー、2045年に人口1万人を維持するのが町の全政策の目標です」と、役場を定年退職後、移住相談に当たる伊藤一成氏は話す。

2020年以前から移住者は増えており、それを加速させようと2020年に移住相談員2人を専属でおいた。同年6月には、ウツリスムステーションをオープンさせたものの、緊急事態宣言下で4、5月の相談はゼロ。だが、宣言が明けて以降は驚くほどの反響が続く。

空き家と移住者希望をつなげる仕組み

町内には不動産会社が14社あるが、専業で営業マンのいる会社はない。そのため、これまで町民が相談しても空き家が解決に向かうことはほとんどなかったが、そこに町の移住相談員が入ることで空き家と移住者がつながり、動き始めたのである。しかも、もともと役場にいた、地域を知り尽くした人が担当するとなれば地元からの信頼は当然として、入居希望者も安心。移住した人の口コミが次の移住希望者につながっているのも頷ける話である。

移住者増は町の経済に好影響を及ぼしてもいる。契約を行う不動産会社、登記を行う司法書士、リフォームを行う工務店や設備事業者その他に仕事が発生しているのだ。さらに最近では不動産会社が扱いたがらなかった廃屋に近い住宅までが動き始めている。

「さすがにこれは無理だろうと思いながら50万円、100万円で情報を出したところ、想像以上に問い合わせが集まり、自分で購入・修理してそれを移住希望者に貸したいという提案が出てきました。そこで富士見町や金融機関などと組んでプロジェクトを立ち上げ、現在、来春を目指して2軒の改修準備が進んでいます」と伊藤氏。

移住者を呼び込むために行政が新築住宅を作る例があるが、空き家が多数あるエリアでそれをやるのは本末転倒。富士見町には現在400軒ほどの空き家があるそうで、それを再生できれば地域の変化は加速するだろう。

次ページ3年間ほど前から商店街のシャッターが「開き始めた」
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事