激変、異変!2022年「日本で注目の街」の共通点 毎年恒例!「ゆく街・くる街」に選ばれた街は?

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廃業が少ないのにはあと2つ理由がある。1つは不動産会社と商工会議所がタッグを組み、独立、起業する人をバックアップしていること。昨年まで市の創業セミナーに関わっていた山居氏は物件探しに来た人を商工会議所に連れていき、事業計画作成や資金繰り、金利を安くする手はないかなど相談に立ち会う。

商工会議所に相談に行った人も物件を探す段になると山居氏を紹介される。事業計画がしっかりしており、固定費である賃料ときちんとかみ合っていることなどから廃業リスクが軽減されているのである。

もう1つの理由は土地柄。小田原は100年企業も含めて老舗の多い街だが、老舗の人たちに若い人を応援する気質があるのだ。

「若い人を応援したり、新しいもの好きな気質から最初にお客さんになってくれる老舗の若旦那も多く、一方で地域の役職など面倒な役目は引き受けてくれる。だから若い人は自分のやりたいことに取り組みやすく、市の創業セミナー、弊社コワーキングオフィス利用した人からは100人弱が創業しています」(山居氏)

小田原市の人口は約19万人だが、近隣の真鶴、湯河原なども商圏と考えると約30万人が対象となる。都心ともそれほど遠くない上に箱根や伊豆への入り口でもあり、店を始めたい、独立、起業したい人には条件が揃っている地といえるだろう。

ただ、冒頭で書いたように不動産は不足気味。市内には東海道新幹線他のJR小田原駅以外にも小田急小田原線、箱根登山鉄道線など6路線、18駅があるので広い範囲で立地、物件を考えるのが賢明かもしれない。

若い移住者が爆増中

富士見町(長野)

2019年度33件、2020年度201件、2021年度は12月半ばで280件。長野県富士見町への移住相談はこの3年で大きく伸びており、2020年度には50件以上の売買、賃貸契約が完了した。2020年には築200年の古民家「夢想庵」での移住体験もスタートしている。

都心から2時間ほど。毎日でなければ通勤も苦ではなく、環境に恵まれていると選ばれている冨士見町。山が好きだからと移住してくる人も多い(写真:筆者撮影)

コロナ禍で顕在化しつつある移住希望だが、それをチャンスと捉えて積極的に動いている自治体はそれほど多くない。相談に訪れた移住希望者に不動産会社あるいは空き家の一覧表を渡しておしまい。あるいは「賃貸の空き家はありませんか?」との問いを「ないですね」の一言の答えで終わらせてしまう自治体が少なくないはずだ。

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