ちなみに、和宏さんは4人兄弟の長男で、妹が3人だと言う。
「一番下の妹とは10歳以上離れていて、親は共働きだったから、自分が家事をする日も多くて……部活なども入らずに家庭の手伝いをしていました。自分で抱え込みすぎるのは、社会人になって始まったことでもないんですよね」
転職成功も予想外のギャップ
その後、1カ月の転職活動をしたのち、和宏さんは老舗出版社B社への転職を成功させる。職種は今まで通りエンジニアで、担当はサイトの開発や保守。前職より年収がプラス100万と、条件面も良かった。
その頃には心身の疲れも取れていたこともあり、気持ちを新たに働きはじめた和宏さんだったが、程なくして、さまざまなギャップを感じることになる。
「リモートワーク勤務だったんですけど、わからないことは電話で話す文化だったんです。1日5回以上は電話がきていました。そのたびに作業を止めないといけなくて。前の会社ではチャットでコミュニケーションをとっていたので、なかなかその環境に慣れませんでした。
また、時間管理が厳しいのも合いませんでした。どんな細かいことでも、逐一かかった時間を記録して報告しないといけなかったり、業務開始の打刻が始業時刻から1秒でも遅れちゃいけなかったり……前職では、始業開始はツイッターの専用アカウントで呟けばいいというゆるさだったので、ギャップがありました」
前の会社は仕事量の多さにより『時間に追われていた』が、今は『時間に縛られている』……転職前は理想的に思えた会社だったが、いざ入ってみると、「隣の芝生は青かった」という。
前の会社と今の会社を比較する機会が増え、ストレスを感じるようになった和宏さんだったが、中には到底理解できないこともあった。
「エンジニアなのに、Core i3搭載の、スペックの低いPCを支給されたんです」
エンジニアは自分で使用するPCを選べる企業も増えていて、大きな画面のデュアルディスプレイが主流になっているため、和宏さんは冷遇されたとすら感じた。
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