「わずか8カ月」で出戻り転職した30歳男性の結末 体を壊して退職したが…迎えた意外すぎる展開

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多くの人が仕事を失っている今、仕事が多いことで不満を言うのはダメだ……そう自分に言い聞かせた和宏さんだったが、在宅勤務で家にこもり、「朝9時から深夜2時まで働き詰め」の生活が3カ月ほど過ぎる頃には「自然と涙が出る」ように。程なく精神的に限界を迎え、退職を決めた。

「上司には『体を壊した』と伝えました。本当のことを言えば体はまだ壊れてなくて、むしろメンタルのほうが限界でした。でも、本当のことを言っても仕方ないので……上司からは引き止められましたが、最終的に退職できました」

職種を変えるか悩むまで追い込まれる

「体を壊した」と伝えて退職した和宏さんだったが、離れて2週間が経った頃には、実際に体に異変が起こった。原因不明の微熱が続き、倦怠感で起き上がれなくなったのだ。その結果、「すぐに転職活動をしよう」という当初の考えを捨て、体と心を休める日々に入る。

しかし、自他ともに認める真面目な性格な和宏さんは、休んでいる間も、常に仕事のことを考えてしまっていたという。しかも、マイナスの方向にだった。

「考えれば考えるほど、エンジニアは自分にとってハードルの高い、難しい仕事なんじゃないかと思うようになりました。自分はもともと理系出身ではなく、一念発起してスクールに通ってエンジニアになったタイプ。デザイナー的な要素も求められる業務もあるため、『自分にそのセンスがあるのかな……』って、ずっとコンプレックスがあったんです。休みながら、この仕事を続けるべきか、思いきって他の職種にシフトするか悩んでいました」

しかし、未経験でジョブチェンジできる求人の給与水準は、和宏さんが想像していた以上に低い現実があった。Webエンジニアの平均給与は600万円。ところが、営業の未経験求人を見ると、400万前後でのスタートがほとんどだ。「いい給料で働いていたんだな」と感じる日々だったが、そうやって冷静にA社のことを捉えたからだろうか、数カ月が経つ頃には、心境に変化が生じた。A社での、自身の行動に、ある種の後悔を覚え始めたのだ。

「なんでもかんでも仕事を引き受けすぎちゃっていたな、と思うようになったんです。もともと、周りに気を使いすぎる質なんですけど、『それで退職するなら意味ないよな。うまく断ることもできたんじゃないかな……』って」

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