日本初?「漫才授業」で学校を沸かす芸人の正体 「アンダーエイジ」が岩手に移住した深いワケ

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「岩手めんこいテレビさんが、住みます芸人(プロジェクト)の記者発表があった直後に、会社(吉本)のほうに連絡をくださったらしいんですよね。『住みます芸人が岩手に来てくれるなら、誰が来ようが、レギュラー番組一本、用意して待ってます』って」(熊谷)

吉本にそう電話したのは当時、めんこいグループの番組制作会社「めんこいエンタープライズ」の番組制作部長を務めていた高橋聡(50歳)だった。

秋田出身の高橋は、東京の放送系のマスコミ専門学校を卒業後、東京や岩手の制作会社を経て2000年、「めんこいエンタープライズ」に入社。情報番組やバラエティーなどの制作に携わり、2015年に帰郷した。現在は秋田の制作会社で、「秋田テレビ」の番組制作を手掛けている。高橋が回想する。

「2011年の4月に、めんこいテレビが開局20周年を迎えたんです。それで、これを機に昼の情報番組をリニューアルしようということで、2010年の暮れから構想を練ってたんですが、そんな時、『住みます芸人』の発表があったんで、これは目玉のひとつになると思って、連絡したんです。

というのも、その前年に、めんこいテレビ制作の全国放送のバラエティ番組を作ったことがあって、その時に吉本さんと初めてお付き合いさせていただいたんですが、その時の印象がすごく良かった。千原せいじさんとか、宮川大輔さんとか錚々たるメンバーをキャスティングしてくださって、番組についてもいろいろ、アドバイスをいただいた。

だから『住みます芸人』が発表された時に、すぐに電話したんだと思います。その時は『誰が(岩手に)行くかは決まってない』ということだったんですけど、『それでも、構いません』と。吉本さんなら真剣に取り組んでいると思ったので、『ぜひ、お願いしたい』と」

アンダーエイジを育てた「はちきゅん」

アンダーエイジの2人は2011年5月から、同局の土曜昼の生活情報番組『はちきゅん』に週1回、レギュラー出演する。それは同番組が終了した2016年3月まで続き、この5年間で2人は、地元での知名度を定着させた。

「めんこいテレビさんには本当にお世話になりました。今までやったことのない中継や食レポ、時にはMCも経験させてもらいました。ロケ中のカメラに向かっての立ち位置から、MCの時のコメントの入れ方まですべて、この番組で教えていただいたんです」(熊谷)

そして、このレギュラー番組の終了後、彼らは再び、今度は岩手での「漫才ライブ」に力を入れ始めたという。

「5年もテレビに出させていただいて、いろんなことを教えていただいたことには、本当に感謝しています。けど、やっぱり僕らが本当にやりたいのは『漫才』なんだな、と。それで、5年前から月1で、(盛岡市内の)神社の社務所をお借りして、20人くらいのコアなお客さん入れて、新ネタライブを始めたんです。

ただ、年に1度の単独ライブは、岩手に来て2年目(2012年)からやってて、200人くらいのキャパのホールで、多い時には2日間で、(延べ)300人のお客さん相手に、新ネタ15本やった時もありました」(結城)

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