異例すぎる「NASA出身コーチ」が結果を残せたワケ ゴルフをロジカルで科学的なスポーツに変えた
タイガー旋風が吹き荒れる前のゴルフ界では、とにかく真っ直ぐ打つことが良いとされていました。飛距離よりも方向性が重視されていたのです。その流れが、タイガーの、飛距離を出してアドバンテージを取るというゴルフによって激変していきました。
必然的にティーチングも飛距離を出すことにウエイトが置かれ、バイオメカニクスなどの科学的手法やフィジカルトレーニングが発展していきました。ここに技術革命が起こり、PGAツアーで活躍するにはこれまでのスタイルを大きく変える必要に迫られたわけです。
天才と科学の融合が生み出したメジャー制覇
ミケルソンは長い間、タイガーに苦汁を飲まされていました。ブレークスルーには自分を変えなければなりません。勝つために変わらざるを得なかったのです。そして、変わるためにペルツを頼ったのです。
天才的な才能の持ち主が科学と融合することでメジャーに勝つ方法論を見出したというわけです。ミケルソンが才能だけでメジャーを勝ち続けていたら、ペルツの理論は机上のものと聞き流していたかもしれません。しかしミケルソンは自分に足りないものは何かを究明し、適切なコーチの指導を仰いだのです。
ミケルソンは、ペルツにパッティングの指導を受けた同時期に、タイガー・ウッズの元コーチ、ブッチ・ハーモンにも師事しています。ペルツやハーモンによる指導前後の時期は、タイガーの全盛期。稀代の天才プレーヤーの上を行くために自分のウイークポイントを見つめ直し、穴埋めをするために最適なコーチを選んだのです。
ミケルソンはペルツの理論的なパッティング法で修正を図ったのち、さらにパッティングのレベルアップを狙って、メジャー2勝、PGAツアー10勝の実績を有するデイブ・ストックトンにパッティングの指導を依頼します。それまでのロジカル派のペルツから感覚派のストックトンにパッティングコーチを変え、ロジカルと感覚の融合に取り組みます。
そして2015年から現在までアンドリュー・ゲットソンを専属コーチに付けています。それまでのミケルソンの歴代コーチたちは改善点を独自理論を用いて指導していました。
しかし、今までのコーチとは異なり、ゲットソンはスイングをチェックして現在の状態を伝えながらミケルソンに気づきを促し、2人が意見交換しながら修正を図っていく方法を取っています。
ミケルソンがそれまでに蓄えてきた知識や経験を上手に引き出しながら、自分自身がどうしたいのか、どうフィットさせればいいのかを考えさせるコーチングです。
こうした思考プロセスはとくに成功した人には腹落ちしやすく、とても意味のあることだと思います。ベテランほど人との対話により、自分には何が必要かがはっきりと見えてくるからです。
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