《プロに聞く!人事労務Q&A》転勤によって生じる敷金・礼金は会社が負担するべきですか?
ご質問の敷金・礼金の会社負担については、社員が転勤を受け入れやすくする環境整備のためには不利益を緩和させる配慮は必要です。
規則記載例:敷金・礼金の実費は会社負担とする。ただし、○○円を限度とする。
限度額基準の考え方 ・家族構成や役職、地域による限度額基準を設定 独身者の間取り1DK(または広さの基準20平方メートル)に対する地域の敷金・礼金の相場を基準とする
○配転命令と権利濫用
東亜ペイント事件(最高裁1986年7月14日第二小法廷判決)より
1.労働協約及び就業規則には「業務上の都合により転勤を命ずることができる」旨の定めがあり、両者の間で労働契約が成立した際にも勤務地を限定する旨の合意はなされなかったという前記事情の下においては、会社は個別的同意なしに勤務場所を決定し、転勤を命じて労務の提供を求める権利を有する。
2.使用者は業務上の必要に応じ、その裁量により労働者の勤務場所を決定することができるものというべきであるが、転勤、特に転居を伴う転勤は、一般に、労働者の生活関係に少なからぬ影響を与えずにはおかないから、使用者の転勤命令権は無制約に行使することができるものではなく、これを濫用することの許されないことはいうまでもないところ、当該転勤命令につき業務上の必要性が存しない場合又は業務上の必要性が存する場合であっても、当該転勤命令が他の不当な動機・目的をもってなされたものであるとき若しくは労働者に対し通常甘受すべき程度を著しく超える不利益を負わせるものであるとき等、特段の事情の存する場合でない限りは、当該転勤命令は権利の濫用になるものではない。