住む場所の変化が「シン・街道資本主義」を生む訳 「街」のメディア化が導く「鉄道資本主義」の終焉

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だから、私たちは「だれでもマスメディア時代」を理解し、なるべく「善用」する方法を探らねばなりません。この連載では、そんな「だれでもマスメディア時代」に関するさまざまなトピックをとりあげていこうと思います。

「鉄道資本主義」から「シン・街道資本主義」へ

第1回目は、だれでもマスメディア時代の到来によって、これからの「街」が大きく変わるかもしれない、というお話をいたします。日本の首都圏の街の構造を規定していた「鉄道資本主義」の時代から「シン・街道資本主義」ともいうべき時代が本格的に到来する可能性があるのです。

私は、ずっと首都圏の郊外道路「国道16号線」の研究をしており、昨年は『国道16号線 日本を創った道』(新潮社)を出版しました。

東洋経済オンラインにも、16号線にまつわる記事を短期連載いたしました。

国道16号線は、東京の郊外30〜50キロ圏をぐるりと取り囲む、神奈川の横須賀から千葉の富津まで約330キロの環状道路です。沿線人口は約1100万人。神奈川、東京、埼玉、千葉の27の地方自治体を貫き、横浜、さいたま、千葉という県庁所在地を通っている、日本でも有数の交通量の多い国道の1つです。

16号線の詳細については、連載をご覧いただくか、私の著書を読んでいただくことにして、実は新型コロナウイルス感染拡大が起きた2020年春以降、この16号線沿いが、首都圏では大きな注目を浴びるようになっています。

16号線エリアに積極的に住みたい、という人が増加しているのです。

戦後、国道16号線の通るエリアは、急増する首都圏人口を吸収するベッドタウンの役割を果たしました。千葉ニュータウンや、多摩ニュータウンをはじめとする巨大団地・ニュータウンが1950年代以降、現在に至るまで造成され続けています。

このニュータウンに住まう多くの会社員たちを都心に運ぶ役割を果たしてきたのが、鉄道でした。

首都圏は、世界で最も鉄道網が発達した地域です。山手線、南武線、横浜線という環状鉄道が同心円状に都心を取り囲み、東海道線、中央線、京浜東北線、常磐線などが地方と東京をつなげ、さらに新幹線が日本全国と東京を直結しました。

それだけではありません。「鉄道資本主義」ともいうべき、首都圏の街の開発と個人と企業の経済活動を支えたの私鉄です。渋沢栄一や五島慶太、堤康次郎などに端を発する、私鉄主導の沿線開発は、首都圏の街のかたちと人々のライフスタイルを規定しました。

各私鉄は、都心の山手線駅にターミナルを設け、沿線の不動産開発を行い、大学などを誘致し、終点にはアミューズメント施設を設けました。関西で小林一三が阪急沿線の開発で行ったこの手法は、首都圏で各私鉄が行い、都市がスプロール状に広がりました。

戦後、16号線沿いにできた数々のベッドタウンは、私鉄沿線の終点近くに位置し、人々は都心まで1時間前後、満員電車に揺られて通勤するようになりました。

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