住む場所の変化が「シン・街道資本主義」を生む訳 「街」のメディア化が導く「鉄道資本主義」の終焉

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J横浜線の駅がある相模原市の古淵は、日本でも有数のショッピングモール街が国道16号線沿いに広がっています。1993年、当時のジャスコ(現イオン)とイトーヨーカ堂が道を挟んで出店して以来、次々と商業施設が集まりました。島忠ホームズやニトリ、ドンキホーテが軒を連ねています。

古淵は、90年台のバブル崩壊以降、日本の消費が駅前からロードサイドに移っていく、鉄道資本主義からシン・街道資本主義の先行事例のようなエリアでした。90年には同地でブックオフが創業し、92年にはアメリカから進出したトイザらスの初の路面店ができました。

古淵の16号線エリアは、横浜線古淵駅から、数百メートルしか離れていません。が、ここに展開している商業施設はいずれも16号線を「正面玄関」としており、自動車による来客がメインであるのがはっきりわかります。

首都圏や京阪神のように鉄道が発達した地域以外では、日本でも自動車社会が広がっていました。そして、首都圏でも、郊外においては、徐々に街道沿いに経済圏が成長する「シン・街道資本主義」が、浸透していたのです。

「街」というメディア

現代のメディア論のとば口を開いたマーシャル・マクルーハンは、「メディア」の定義を1964年に発表した『メディア論』で2つ展開しています。

1つは「メディアはメッセージである」。

これは、冒頭に記した「メディアは3つの要素から成り立っている」と呼応しているマクルーハンならではの論です。私たちは、メディアの発するメッセージは、ついつい「コンテンツ(番組だったり、記事だったり、映画そのものだったり)」だけだと思ってしまいます。けれども、マクルーハンは、それぞれのメディアのハードウェアとプラットフォームもふくめた「メディアのかたち」が、私たちに影響を大きく与える、と看破します。

もう1つの定義は、「人間の身体を拡張するあらゆる技術や道具はすべてメディアである」というものです。

『メディア論』でマクルーハンは、26種類(もちろんアルファベットの数をかけたものです)のメディアを具体的に挙げます。テレビやラジオや新聞などと並び、自動車や衣服や住宅なども人間の身体を拡張するメディアである、というわけです。

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