国道16号線が日本の繁栄を語る上で外せない訳

古い歴史を持ちながら典型的な「郊外」を作った

近代日本の歴史の中で重要な役割を担ってきた(東部写真館/PIXTA)

国道16号線という道路をご存知だろうか。

東京の中心部からほぼ30キロ外側、東京湾をふちどるようにぐるりと回る、全長約330キロの環状道路だ。正式名称は国道16号。三浦半島の付け根、神奈川県横須賀市走水から横浜まで東京湾の海辺を走ったのち、内陸部に向かう。東京都の町田、八王子、福生を抜けて、埼玉県の入間、狭山、川越、さいたま、春日部を過ぎ、千葉県の野田、柏、千葉、市原から再び東京湾に出る。

【2020年11月17日9時21分追記】初出時、国道16号が通る地名の一部に誤りがありましたので修正しました。

木更津を越えて富津の岬に到着すれば、海を挟んでスタート地点の横須賀の街が見える。ちなみに、ちょっと先の三浦半島・久里浜と房総半島・金谷をカーフェリーが運行しているが、あれが「海の16号線」である。東京周辺をぐるりと一周できるわけだ。

拙著『国道16号線 「日本」を創った道』でも詳しく解説しているが、国道16号線自体の歴史は新しい。道路整備そのものが始まったのは明治維新以降だ。現在のルートが「国道16号」として指定されたのは1962年5月1日、施行したのは翌1963年4月1日、東京オリンピックの前年である。生まれてから60年もたっていない。

日本の歴史を眺めれば、はるかに有名な道路がいくつもある。たとえば、東海道、東山道、北陸道、山陽道、山陰道、南海道、西海道の七道は、701年に制定された、政治の中心である五畿=畿内から地方に伸びる幹線道路である。このうちの東海道などは、国道1号線や東名高速道路に進化して、日本の動脈であり続けている。

「16号線エリア」を調べてわかる面白い事実

ところが、一見何の歴史も背負っていない16号線の通っている地域を「16号線エリア」とみなして調べていくと面白い事実にぶつかる。なんと人類が日本に到達した3万数千年前から、16号線エリアには、人々の活発な営みが刻まれ続けているのだ。

数万年前の旧石器時代の16号線沿いには、日本各地を結んだ黒曜石などの交易の要所があった。数千年前の縄文時代には、16号線沿いの海辺や川辺に日本で最も多くの貝塚が集積しており、関東随一の人口密集地帯だった。古墳時代には数多くの古墳ができ、関東最大級の古墳群も築かれた。飛鳥時代から奈良時代にかけて、国府の多くが16号線にほど近いエリアに設けられた。

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