では、まず、「以前のように出勤し、リアルで顔を合わせながらの勤務」と「リモートでの勤務」、果たしてどちらのほうが「生産性が高い」のでしょうか。
私の友人であるAIG損保の執行役員の林原麻里子さんは、コロナで会社がフルリモートになったのをきっかけに、昨年7月佐賀県唐津市に移住し、広報の責任者としての仕事を遠隔で問題なくこなしています。
通勤時間がない分、仕事に集中でき、労働時間も増え、「生産性は上がった」と実感しているそうです。
エクゼクティブに話し方を教えている私もコロナ禍当初、対面機会が減ってどうなるかと思っていましたが、オンラインでも問題なくコーチングできることがわかり、「対面とリモートのハイブリッド」が最も効果が高いことを発見しました。
スタンフォード大学のニコラス・ブルーム教授が、ある中国の旅行会社を対象に行った調査では、「リモートでは生産性が13%上がった」という結論でした。
同教授とシカゴ大学の教授らが3万人以上のアメリカ人を対象に行った今年4月の調査では、「リモートワークによって生産性が5%向上し、パンデミック後は全労働時間の2割はリモートで行われるだろう」と予測しています。
まだまだ課題が多い「リモートワーク」
「従業員は通勤のストレスから解放され、生産性も上がるとなれば、いいことずくめではないか」となりそうですが、リモートワークにはまだまだ「解決すべき多くの課題」が残されています。
急速に広がったリモートワークですが、「それが向いている業種」と「そうでない業種」にくっきりと分かれます。
「IT系」「金融系」などはリモートとの親和性が高い一方で、「サービス産業系」は難しく、社内でも、現場の工場は全員出社だけれど事務系はリモートというケースも多くあります。
また、「大企業ほどリモート比率は高い」など、「高収入のエリートホワイトカラーほどリモートが許される」という現実があるわけです。結果として、「リモートが許される業種に人気が集中する」「社内での不公平感が生まれる」などの問題が生まれやすくなっています。
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