出社して、目に留まりやすい人のほうが、プロジェクトへの参画に声をかけられやすいといったことも起こってくるでしょう。全員が同じ条件であれば、問題ないのですが、一部の人はフルリモートとなった場合に、このバイアスをどう克服するのかも課題になると考えらえています。
日本では、企業によってもリモート対応のスピードや充実には随分と差があり、私の周りでも、「外資系企業」「大企業」「スタートアップ」などでは、リモートの導入が進む一方で、「中小企業」などでは、まだまだのところも多い印象です。
特に、トップがリモートワークに理解がなく、出社を強制されるなど、「リモートワークへの偏見」も根強く残り、インフラ整備がまったく進まない企業も少なくありません。
アドビが日本、アメリカ、英国、ドイツ、フランス、オーストラリア、ニュージーランドの7カ国で行った働き方に関する調査では、日本人が「テレワークはオフィスより仕事がはかどる」と答えた人の割合が断トツに低いという結果でした。
グローバル平均が69.1%に対し、日本は42.8%。アメリカ75%、オーストラリア75.4%に比べると、その低さが際立ちます。
「日本特有の問題」を解決することが必要
こうした結果を鑑みると、海外に比べると、リモートを機動的に活用しながら、生産性もイノベーションも上げていくハイブリッドの労働環境を整備できる企業はそれほど、多くはないのかもしれません。
その遅れの大きな原因は「ハンコ」「印刷」といった商慣行によるものというよりは、そもそも、きっちりと言語化して、「ほめる」「叱る」「フィードバックをする」「説明する」「説得する」という職場のコミュニケーションの基礎ルールをほとんどの日本人が知らないがための「コミュニケーション不全」に起因しているように感じます。
ウィズコロナ、ポストコロナの企業の生産性向上のためには、リモートワークの物理的環境を整えるにとどまらず、「社員間の意思疎通」「コラボレーションを促進するベーシックなコミュニケーションのルール」を浸透させる必要があるのです。
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