デジタル庁の成否「民間人登用」が重大な鍵握る訳 長年の課題のIT改革に本当のメスを入れるために

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デジタル庁で民間出身者に意思決定権限を与え、霞が関で「イノベーション体質」のモデルケースとなれるかが、日本社会のデジタル化への布石になる(写真:Graphs/PIXTA)
米中貿易戦争により幕を開けた、国家が地政学的な目的のために経済を手段として使う「地経学」の時代。
独立したグローバルなシンクタンク「アジア・パシフィック・イニシアティブ(API)」の専門家が、コロナウイルス後の国際政治と世界経済の新たな潮流の兆しをいち早く見つけ、その地政学的かつ地経学的重要性を考察し、日本の国益と戦略にとっての意味合いを、順次配信していく。

9.11後のアメリカFBIも情報システム構築に苦戦

2001年のアメリカ同時多発テロの後、FBIでは電子的に情報を共有する革新的な情報共有システムの開発が計画された。9.11の独立調査委員会による検証でFBIの情報共有の不備が指摘されたことを背景としたものだ。要注意人物の動きや不審な飛行訓練……テロ攻撃を阻止できたかもしれない断片的な情報は、FBIの貧弱な情報システムと紙のケース・ファイルに阻まれ、組織として把握、共有し有効な手を打つということができなかった。

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その反省を踏まえ開発されたのがケース情報を電子的に共有する「センティネル」である。しかし、ロッキード・マーチンをはじめとする委託先に約500億円を投下しながら、開発は2度頓挫。センティネルは、10年以上を浪費した後、最終的に委託開発から内製化に切り替え、アジャイル開発やスクラムの方法論を導入し、やっと2012年にリリースに漕ぎ着けることになる。

コロナで「デジタル敗戦」が露呈した日本のみならず、古今東西、政府によるシステム開発が困難に直面したケースは事欠かない。アメリカではセンティネル以外でもオバマ大統領の肝煎りだったHealthcare.gov、イギリスにしてもオーストラリアにしても調達の失敗がその後の政府のデジタル部門の改革に繋がった。

日本でも、2004年から8年と55億円をかけて完成しなかった特許庁のシステムはその代表例であり、また、今回のコロナでは稼動後すぐに停止に追い込まれた雇用調整助成金システム等は記憶に新しい。単年度の予算サイクル、ウォーターフォールを前提とした調達プロセス、競争環境の無さ、省庁間の縦割り、発注側の専門性の欠如とベンダーへの丸投げ、そして絶対に間違えてはならないという無謬性。さまざまな官僚機構の悪弊が、往々にして効率的なシステム開発の壁になってきた。

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