デジタル庁が失敗しないために必要な3つの視点

理想と道筋を示して「デジタル敗戦」の先を行け

サプライサイドからデマンドサイドの社会実装が必要だ(写真:metamorworks/PIXTA)
米中貿易戦争により幕を開けた、国家が地政学的な目的のために経済を手段として使う「地経学」の時代。
独立したグローバルなシンクタンク「アジア・パシフィック・イニシアティブ(API)」の専門家が、コロナウイルス後の国際政治と世界経済の新たな潮流の兆しをいち早く見つけ、その地政学的かつ地経学的重要性を考察し、日本の国益と戦略にとっての意味合いを、順次配信していく。

来るべきデジタル庁の社会実装

何かの技術を社会に普及させようとしたとき、多くの人は技術を提供する側の観点、つまりサプライサイド(供給側)の視点に立って物事を考える傾向にある。しかし本来行わなければならないのは、デマンドサイド(需要側)を中心に考えた社会実装ではないだろうか。これから創設されるデジタル庁にも同様のことが言えるだろう。

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アジア・パシフィック・イニシアティブの社会実装WGの成果物である『未来を実装する』で提案したフレームワークを基に、来るべきデジタル庁の社会実装について提案したい。

人々が新たな技術を受け入れるのは、それが何かのニーズやデマンドを満たすからである。デマンドがなければ、どんなに優れた技術であろうと、人々は受け入れられない。

発展途上国が急速にデジタル技術を受け入れているのは、それがその国のデマンドに合致しているからである。たとえば銀行が機能していない国で、モバイルマネーによる送金は数多くの問題を解決する。FAXが普及していない国で、電子メールは利便性を向上させるだろう。

かつては日本もそうだった。第2次世界大戦の敗戦後、日本には多くのデマンドがあり、それを満たすために数多くの技術が社会に受け入れられていった。

それから数十年後の今、日本は成熟した。成熟した社会においては、既存の技術の潜在力が十分に引き出されているため、新しい技術に置き換えても大幅な便益が得られるわけではない。銀行網が張り巡らされATMがコンビニでアクセスできる状況では、モバイルマネーはさほど便益を増すものではない。FAXで十分に業務が回っているのであれば、コストをかけてデジタル技術を導入する必要もない。むしろ新たな設備投資や学習コストがかかる。その業務を担当している人たちの雇用もなくなるかもしれないため、反発も生まれる。

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