コロナ感染再拡大「五輪の途中中止」はありうるか 政府の感染症対策に精通する専門家の答えは?

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「ワクチン接種が進んだこともあって、重症化しやすい高齢者の感染、院内感染、高齢者施設での感染は減ってきています。それは高く評価すべきことです。しかし、ウイルスは次に感染リスクの高い人、リスク行動の高い人に狙いをつける。そこでの感染者が増えれば、たとえ割合で低くても重症者、入院患者が数として増えてしまう。

今のところ、入院患者で病院があふれるような状態ではないが、これがもっと感染者が増え、それに伴って重症者から中等症が増えてすぐに入院できないというような状態が起きはじめると、状況は変わってきます」

やはり医療崩壊の問題だ。これからは新規感染者の数よりも、重症者の数が指標として重要になってくる、と岡部は指摘する。ただ、指標とするにも“重症者”には難しいところもある。

「酸素吸入が必要で入院した人でも、3日で退院できるのと、2週間も命に関わる状態が続くのとでは、同じ“重症者”でも病院の負担も違ってきます。重症者として数字をみるだけでは済まないところもある。感染者が増えても自宅やホテルなどの施設療養など軽症で済めばいい」

選手村で感染爆発が起こった場合は?

そこでもう一つ心配なことがある。オリンピックの開幕が近づくに連れて、選手や関係者の来日も増えた。それに伴う検査によって連日、陽性者が見つかっている。仮に、選手村で感染爆発が起きれば、どうなってしまうのか。

「これは最初から議論になっていたことですが、検査をするにしても、どういう方法ならば信頼できるか、あらかじめ決めなければならない。ワクチンも、今のところ国際的にある一定のレベルをクリアしたものであって、A社のワクチンはよくて、B社のものでは入国は認められないというようなことはできない。

それで入国後はあらためて日本の検査法でチェックをするという方式をとっている。いわばダブルチェック、トリプルチェックで、2番目、3番目の網目にひっかかっていくことはある。場合によってはゲームに出られないなどのルールもあるわけで、今までのオリンピックではなかった感染症対策を初めてとっている。スポーツはルールがあり、それに従って競技が行われる。競技者はもちろん、それに係る関係者もあらかじめ定められたルールを尊重すべきです。

仮に競技者で感染者が見つかった場合でも、アスリートは肉体的には健康な人ばかりで、年齢的にも重症化することは少ないと思う。ただ、感染者が1日に数百人も出るとか、ホテルなどでの療養者が増加する、あるいは重症者や中等症が増えて医療機関で入院が必要になるとなれば、地元や地域の医療態勢の圧迫につながる。

それは最悪のシナリオで、そうなる前に次の対策、次のデシジョン(意思決定)をしないといけなくなるだろう」

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