添乗員は見たコロナ禍の「密告ツアー」の修羅場 GoToの効果はなし?団体ツアーの客足は今一つ
コロナ禍で旅行業界は苦境の真っ只中にある。外出自粛の要請は長引き、観光地から人の姿が消えて久しい。夏本番を迎え、旅心をかき立てられている人も多いことだろう。そんな厳しい状況にある旅行業界は、以前よりアクシデントが日常茶飯事であり、そのしわ寄せはすべて添乗員に行ってしまう。
理不尽なのは客だけではなく、旅行代理店、土産店などで働く“ギョーカイ人”も同様だという。67歳の現役派遣添乗員の梅村達氏の著書『旅行業界グラグラ日誌』より、現場での抱腹絶倒なエピソードを一部抜粋し再構成のうえ紹介する。
1回目:67歳の派遣添乗員は「見た」旅行業界の魑魅魍魎
2回目:「予約のない客現る」添乗員も参ったツアー事件簿
1回目:67歳の派遣添乗員は「見た」旅行業界の魑魅魍魎
2回目:「予約のない客現る」添乗員も参ったツアー事件簿
イケイケの旅行業界に訪れた大打撃
2019(令和元)年までの旅行業界およびその関連業界は、順風満帆という言葉そのままのイケイケ状態であった。海外から日本を訪れる観光客数は、直近の数年にわたって右肩上がりを続けていた。その状況を見こんで土産物業者が施設を拡充したり、ホテルが続々とオープンしたりと、業界は拡大の一途をたどっていた。
京都などの有名観光地においては、外国人ツーリストたちでひしめき合う状況が、ごく普通の光景となっていた。私も添乗業務で、京都の清水寺をしばしば訪れる。いつ行っても外国人だらけというのが、近年の清水寺事情である。
京都はまた修学旅行の、定番中の定番コースでもある。外国人たちに加えて、修学旅行の大集団に遭遇しようものなら、添乗員は大変なことになってしまう。団体ツアーで清水寺へ行くには、観光バスの駐車場から寺へと続く参道を、5分ほど歩かなければならない。その両軍団で大にぎわいの参道ともなると、心理的に5分が遥かなる道のりとなってしまうのだ。
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