「予約のない客現る」添乗員も参ったツアー事件簿 アクシデントこなすベテラン派遣添乗員の技

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旅行添乗員が見た、現場での抱腹絶倒なエピソードの第2弾をお届けします(写真:Pangaea/PIXTA)
コロナ禍で旅行業界は苦境の真っ只中にある。外出自粛の要請は長引き、観光地から人の姿が消えて久しい。夏本番を迎え、旅心をかき立てられている人も多いことだろう。そんな厳しい状況にある旅行業界は、以前よりアクシデントが日常茶飯事であり、そのしわ寄せはすべて添乗員に行ってしまう。
理不尽なのは客だけではなく、旅行代理店、土産店などで働く“ギョーカイ人”も同様だという。67歳の現役派遣添乗員の梅村達氏の著書『旅行業界グラグラ日誌』より一部抜粋し再構成のうえ現場での抱腹絶倒なエピソードを3回にわたり紹介する。(1回目:『67歳の派遣添乗員は「見た」旅行業界の魑魅魍魎』

「ワシも連れていってくれ!」予約していない人現る

業界用語に「ゴーショウ(Go Show)」、「ノーショウ(No Show)」というのがある。

前者はツアー参加者名簿に名前のない人が、集合場所に現れること。めったにないケースだ。それでも私は二度、経験したことがある。後者の「ノーショウ」は、名簿にのっている参加者が集合場所へ来ないこと。「ゴーショウ」とは逆に、こちらはよくある。

「ゴーショウ」の一度目は初老の年格好の夫婦に夫の父親、つまりおじいさんが勝手について来てしまったというもの。家からいそいそと息子夫婦が旅支度で出かけるのを見て、おじいさんも旅心をかき立てられたのか。

あいにくそのツアーは、バスが満席であった。旅行会社に連絡を入れると、補助席で構わないのであればOKとのこと。その旨を伝えると、おじいさんは大喜び。正規の座席ではないため、500円引きで「ゴーショウ」参加となった。

3人で話し合いがあったのであろう。本来は夫婦水入らずの席に、おじいさんと奥さん。はみ出る形で補助席に座ったのが夫君。おじいさんはツアー中、すこぶる上機嫌この上なかった。

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