67歳の派遣添乗員は「見た」旅行業界の魑魅魍魎 「前回と同じ!」ミステリーツアーのミステリー
「お客の落とす金、総取り」
旅行会社が販売する団体ツアーは、普通は企画を練る部署の担当者が作る。すなわちツアーの行き先から始まり、観光スポット、昼食処、土産物店などの立ち寄り先を組み合わせて、ツアー商品を作成する。泊まりのツアーならば、それに宿泊施設が加わる。
「普通は」と述べたが、「普通」でない場合も間々ある。立ち寄り先の業者の方でツアー企画を立案し、旅行会社に売りこむのだ。旅行会社が話に乗れば、自社のツアーとして売り出し、参加者をつのるという次第である。
ツアーの概要は以下の通り。Aという地元で、ボス的存在の土産物業者がいたとしよう。Aは仲間のB、C、そしてDという食事処に声をかける。それにEなる観光スポットを組み合わせれば、ツアー商品の一丁あがりというわけだ。
Aが資金力のある会社で、B、C、Dが仲間ではなく、子会社だとしよう。するとうまみは2倍にも、3倍にもなる。すべて同じ資本系列を回るため、客の落とす金が総取りとなるからだ。
またその手の土産物店のスタッフは、鍛えぬかれていて、セールストークの上手なことといったらない。一例をあげれば、こんな具合だ。
「このホシブドウ、いつもは6袋で1000円だよ。今日は1つおまけして、7袋で1000円にしちゃう。けれどもネ、ここだけの話、○○会社のお客様は特別。もう1袋サービスして、8袋で1000円ポッキリ。今日だけの出血サービスだよ」
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