67歳の派遣添乗員は「見た」旅行業界の魑魅魍魎 「前回と同じ!」ミステリーツアーのミステリー

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この口上を聞いて買い、「添乗員さん、2袋もトクしちゃった」と、満面の笑みをうかべた参加者がいた。うまい儲け話がありますよと持ちかけられ、サギに引っかかる人の話は後をたたないが、「トクしちゃった」と喜んでいるニコニコ顔を見ると、さもありなんと思ってしまう。

そういう業者主導のツアーは、夏と冬にとくに多い。暑さや寒さの厳しい時節は、どうしても旅行に出かけようという人は少なくなりがち。そこで業者のほうから仕掛けて、人を引き寄せるイベントで盛り上げようというのだ。

たとえば冬ならばAで豚汁、Bで甘酒、Cで汁粉のふるまいをする。そしてそれぞれの店舗で「ちょっぴりプレゼント」と称して、来店者の心をくすぐるプレゼントを配る。さらに各店で、ビンゴなどのゲーム大会を開く。またそれぞれの店から景品を出し合って、帰路のバス内で抽選会をもよおしたりもする。

最近では土産つきのツアーも増えてきた。メロンなどのフルーツや、カニなどの海産物、その土地を代表する菓子などの土産物がセットになったツアーである。

ミステリーツアーの「ミステリー」

ところで旅行会社が売り出しているツアーの中には、あえて行き先を知らせない「ミステリーツアー」という商品がある。ツアー慣れした人が多くなり、どこへ行くかわからないということが、アピールポイントになるのである。

もともと買い物が大好きという人は、それなりにいる。したがって土産物業者が元締めの「お買い物ツアー」には、ある程度の参加者の数が見こまれる。その「お買い物ツアー」を「ミステリーツアー」と銘打って販売すると、参加する層はいっきょに広がる。

もちろん業者が練ったツアー企画は、いろいろな旅行会社に売りこまれる。企画が複数の会社で、採用されることもある。そのためライバル企業の「ミステリーツアー」が、ほぼ同じ中身というミステリーの生じることもあったりする。

団体ツアーの常連客の中には、「ミステリーツアー」の熱心なファンもいる。そういう人が異なる旅行会社の「ミステリーツアー」に、たて続けに2回参加した。ところがツアーの内容がいっしょで、驚くやらガッカリするやら。

2回目のツアーの添乗員だった私は、その参加者から「どうしてそういうことが、起きるのかしら?」と、クレームめいた質問を受けた。

「旅行会社の企画というのは、どこも似たり寄ったりになってしまうものなんです」と、苦しい言い訳しかできなかった。

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