菅首相とメルケル首相の埋められない決定的な差 「ナラティブ不在」で右往左往のオリンピック

印刷
A
A
「ナラティブ力の不足」が目立つ日本のリーダーは、ドイツのメルケル首相をはじめとする女性リーダーたちから「ナラティブ力」を学ぶべきだろう(写真:Dursun Aydemir/2021 Bloomberg Finance LP)
東京オリンピック・パラリンピックの開催が迫っている。国民世論の支持を置き去りにして、五輪をめぐる世の中の動きは、文字どおり「右往左往」だった。五輪中止を求める声も多い中、開催に向けて突き進む日本政府に対する批判の論調をあえて一言で表すならば「説明不足」。しかし、事の本質は「説明不足」ではなく「ナラティブ不在」だと、『ナラティブカンパニー』の著者、本田哲也氏は指摘する。「ナラティブ力の不足」が目立つ日本のリーダーは、ドイツのメルケル首相をはじめとする女性リーダーたちから「ナラティブ力」を学ぶべきだろう。

「説明不足」ではなく「ナラティブ不在」

いよいよ、東京オリンピック・パラリンピックが7月23日から始まる。いまさら言うまでもなく、国民世論の支持を(圧倒的なまでに)置き去りにして、だ。今年に入ってから、五輪をめぐる世の中の動きは文字どおり「右往左往」だった。

『ナラティブ・カンパニー』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします。紙版はこちら、電子版はこちら。楽天サイトの紙版はこちら、電子版はこちら

2月に組織委員会の森喜朗会長が女性蔑視発言で辞任し、後任には橋本聖子五輪担当相(当時)が就任。3月には海外からの観戦受け入れを断念し、チケット60万枚の払い戻しが決定した。そして記憶に新しい5月、「国民の命や健康を守り、安全安心の大会を実現することは可能」との菅義偉首相の発言に至った。

朝日新聞の世論調査(5月実施)では、実に83%が今年の開催に異を唱え、オンライン署名サイトの「Change.org」の五輪中止を求める署名は42万を突破した。それでも開催に向けて突き進む日本政府に対しては、実にさまざまな報道が連日なされたわけだが、その論調をあえて一言で表すとするなら、「説明不足」に尽きるだろう。

「首相説明不足に不満も(時事通信)」「リーダーの説明不足(文春オンライン)」「医療への影響、説明を(日本経済新聞)」――とにかく、「説明」が足りない、というわけだ。

次ページ単に説明が足りているか足りていないかではない
関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
トヨタ国内販売幹部が交代、増える受注残に危機感
トヨタ国内販売幹部が交代、増える受注残に危機感
ウマ娘ヒットの裏で「スマホゲーム」が深める苦境
ウマ娘ヒットの裏で「スマホゲーム」が深める苦境
ニトリ、家具の王者が「家電攻略」に動き出す必然
ニトリ、家具の王者が「家電攻略」に動き出す必然
パナソニック「指定価格」導入に揺れる家電量販店
パナソニック「指定価格」導入に揺れる家電量販店
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT