冷凍餃子の「手間抜き論争」がバズった理由 「企業と生活者が共に紡ぐ物語」のつくり方
「冷凍食品は手抜き? 手間抜き?」論争
ことの発端は、2020年8月4日にツイッターに投稿されたある女性のつぶやきだった。疲れて帰宅して夕食に冷凍餃子を解凍して出したところ、子どもは喜んだが、夫が「手抜きだよ。これは冷凍食品っていうの」と言った、という内容だ。
このツイートにはさまざまな同情の声が集まった。味の素冷凍食品株式会社(以下、味の素冷凍食品)の公式ツイッターアカウントもすぐに反応し、次のような投稿をした。「冷凍餃子を使うことは、手抜きではなく、“手間抜き”です」「冷凍食品を使うことで生まれた時間を、子どもに向き合うなど有意義なことに使ってほしい」。
餃子に限らず、日本ではいまだ冷凍食品にネガティブなパーセプション(認識)がある。おいしく食べることができる調理方法の研究が途上だったとき、あるいは、冷凍技術が今のように発達する前は、「冷凍もの」と言えば「手軽だがあまり美味しくない食品」というイメージだった。そしてくだんのツイートを投稿した女性の夫の言う「手抜き」という言葉は、「家庭料理は妻が愛情込めて手作りするべきだ」という「手作り信仰」の延長線上にある。
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