冷凍餃子の「手間抜き論争」がバズった理由 「企業と生活者が共に紡ぐ物語」のつくり方

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SNSも活用して「手抜きではなく、手間抜き」のナラティブを描いた(画像提供:味の素冷凍食品)
2020年8月、「冷凍餃子」「手間抜き」という話題がツイッターでトレンド入りした。味の素冷凍食品は「冷凍食品を使うことは、手抜きではなく『手間抜き』です」という投稿を公式ツイッターより発信。この投稿には「44万いいね!」がつき、キー局やネットメディアでも報道され、大きな話題となった。
ナラティブカンパニー』を上梓した本田哲也氏が、冷凍食品へのネガティブな「パーセプション」を変え、生活者が同じ物語に参加しているという「共体験」の構造をつくりあげたナラティブの好事例について解説する。

「冷凍食品は手抜き? 手間抜き?」論争

ことの発端は、2020年8月4日にツイッターに投稿されたある女性のつぶやきだった。疲れて帰宅して夕食に冷凍餃子を解凍して出したところ、子どもは喜んだが、夫が「手抜きだよ。これは冷凍食品っていうの」と言った、という内容だ。

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このツイートにはさまざまな同情の声が集まった。味の素冷凍食品株式会社(以下、味の素冷凍食品)の公式ツイッターアカウントもすぐに反応し、次のような投稿をした。「冷凍餃子を使うことは、手抜きではなく、“手間抜き”です」「冷凍食品を使うことで生まれた時間を、子どもに向き合うなど有意義なことに使ってほしい」。

餃子に限らず、日本ではいまだ冷凍食品にネガティブなパーセプション(認識)がある。おいしく食べることができる調理方法の研究が途上だったとき、あるいは、冷凍技術が今のように発達する前は、「冷凍もの」と言えば「手軽だがあまり美味しくない食品」というイメージだった。そしてくだんのツイートを投稿した女性の夫の言う「手抜き」という言葉は、「家庭料理は妻が愛情込めて手作りするべきだ」という「手作り信仰」の延長線上にある。

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