4月25日に3回目の緊急事態宣言が4都府県で発令された。菅首相は記者会見で、「効果的な対策を短期間で集中して実施し、ウイルスの勢いを抑え込みたい」と強調した。しかし、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置を使ったコロナ対策は限界に来ていると思われる。狙いどおりの結果を得るのは困難で、むしろ経済・社会に甚大なマイナスの影響をもたらすだろう。
活動制限と感染増減には相関関係がない
緊急事態宣言やまん延防止等重点措置といった活動制限策には、3つの問題点があると思う。
第1に、エビデンス(根拠)に基づいた政策なのかという点である。
今回の緊急事態宣言でも、さまざまな制限策が講じられているが、疑問のあるものが少なくない。建物の床面積合計が1000平方メートルを超える商業施設は休業対象だが、この線引きはどのような判断から出てきたのか。会話することのない映画館を休業させる理由は何か。学校の部活動の禁止、夜20時以降の消灯の狙いは。
政策というものは、まず現状分析に基づくエビデンスを見つけ、それを踏まえて打ち出すものである。制限対象となる施設・活動がこれまでどの程度コロナ感染を拡大させたのか、各々の活動制限によって、どの程度の感染抑制効果が見込めるのか。こうした根拠が示されないままでは、思いつきの施策で国民を翻弄しているようにみえる。大型連休の直前にさまざまな制限が唐突に導入され、事業者は本当に困り果てている。政策の狙いが共感されないと、国民の前向きな協力は得られず、政府・自治体への不信感だけが増幅していく。
ちなみに、アメリカのマクロデータで検証すると、活動制限の効果は限定的というエビデンスが得られる。アメリカでは昨年10月ごろからコロナ感染が急増し、今年1月に大きなピークを迎えた。
図は時間的ラグを考慮して、昨年12月の州ごとの活動制限の強さが、今年1月の死亡率にどのような影響を及ぼしたかを見たものだが、両者の相関関係はほぼゼロという結果になる。活動制限を強化しても、必ずしもコロナの感染・死亡を減らせるわけではないことを示唆している。
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