オリンピック後の日本「コロナ危機」はどうなるか コロナ危機5つのステージから今後を考える

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<第2ステージ(2020年3月12日〜6月末頃)>

第2ステージの「パンデミック初期」は、WHOによる宣言から新型コロナ危機が世界中に拡散していった3カ月程度の期間である。すでに3月末時点で、全世界200以上の国と地域のほぼすべてに感染が拡散し、新規に感染した国と地域の数はプラトーに達した。

この段階では、散発的に感染者が発生している国、群発的に集団感染(クラスター)が発生している国、市中感染が拡大している国など、国ごとに感染のフェーズがさまざまであった。しかし、危機の重心は、本ステージの前半は中国からヨーロッパへ、後半はヨーロッパから南北アメリカ大陸へと明らかに移っていった。

パンデミック宣言直後には、全世界が渡航制限を発動。本ステージが終わる6月末頃までに、世界の海外渡航者数は前年比で65%減となった。一方、感染が拡大する国々の国内では、各種の公衆衛生措置が発動。初期から感染が波及・拡大していた日本でも、1回目の緊急事態宣言が発出された。

第1波後の「ゆるみ」が出た?

<第3ステージ(2020年7月〜9月末頃)>

この「パンデミック加速期」は、全世界にまんべんなく第1波が到来して感染者が増加し、過ぎ去るまでの期間である。このステージでは、危機の重心は明らかに南北アメリカ大陸(とくにアメリカとブラジル)に定着していた。

先行して第1波の困難にあえいだ国々(とくに北半球)では、経済の再開に関する社会的圧力が高まり、夏の大型休暇に合わせて人の移動が緩和され、国境が一時的に開放された。日本でも、7月末より、観光業や飲食業への需要を喚起する「Go To キャンペーン」が開始され、人の移動が活発化した。

<第4ステージ(2020年10月〜12月末頃)>

この「多面的進展期」は2020年の秋〜冬にあたり、新型コロナ危機は世界の各地域によってまったく異なった様相を見せた。ヨーロッパのように、第2波や第3波に襲われた地域もあれば、ニュージーランドのように感染者がゼロとなった国も。この時期には、もはや世界に「危機の重心」と言える地域はなく、全世界が多様な影響を受けている状態となっていた。

本ステージで特筆すべきは、危機を抑え込むために危機管理医薬品、とくにワクチンの研究開発が促進されたことである。ファイザー/バイオンテックのワクチンや、モデルナのワクチンは、2020年12月にアメリカ食品医薬品局(FDA)によって相次いで承認された。

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