医療従事者への先行接種を皮切りに、国内でコロナワクチン接種が始まって4カ月半。医療機関や公民館、体育館での集団接種や、自衛隊による大規模接種なども始まり、ワクチンを打てる機会が大幅に増えた。
診療所の個別接種で生じた混乱
そんななか、個別接種を始めた診療所では予約とキャンセルの対応で、混乱も生じているところも出てきているようだ。
「昨日、電話してきた患者さんは、『先生のところでワクチンを打ちたかったけれど、近所のクリニックのほうが早い日程だったから、そっちにしました』と言って、当院の予約をキャンセルされましてね」
と言って戸惑いを見せるのは、わだ内科クリニック院長(東京都練馬区)で内科医の和田眞紀夫さんだ。同院では6月からコロナワクチンの個別接種を実施している。
「接種の選択肢が増えたことは、非常に喜ばしいことなのですが……」と話す。
和田さんの診療所のある練馬区では、5月22日から集団接種が、6月1日から個別接種が始まっている。国の方針通り、まずは75歳以上の高齢者に接種券(クーポン券)が配られ、続いて65歳~74歳、さらに基礎疾患がある人、60歳~64歳、区内の保育所の職員など……という順番で配布される。
75歳以上の高齢者の予約開始日は5月17日。これは集団接種でも、個別接種でも一緒だ。わだ内科クリニックでもこの日に予約を始めた。ちなみに東京都練馬区の個別接種は、電話か診療所の窓口に直接申し込むことになっている(集団接種は、インターネットか電話)。
「練馬区より先に個別接種の予約を始めた地域では、この個別接種の予約でかなりの混乱が起こっていました」
和田さんが隣の区にある知人の診療所に様子を聞いたところ、予約開始日には早朝の5時台から列ができはじめ、7時には80人を超える高齢者が予約のために並んだ。まさに屋外とはいえ過密状態だ。それと並行して30件を超える電話予約の対応に追われたという。
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