ワクチン個別接種「キャンセル多発」診療所の難題 大規模や職域の陰に隠れて見えてない混乱の実態

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「当院はそういう混乱を避けたいと考え、事前になるべく予約開始初日の朝に集中しないように周知しました。そのおかげで比較的スムーズに初日の予約が終わりました。それでも、その日の午前中だけで66人の予約の受け付けを済ませましたが」

練馬区の個別接種には「かかりつけの患者のみ受け付ける」診療所と、「誰でも接種が可能な」診療所の2種類にわかれていて、わだ内科クリニックは前者のかかりつけの患者のみ対応する。その理由は、高血圧や糖尿病など従来の診療のほか、昨年の夏から発熱外来を開設し、PCR検査を実施しているためだ。

「今週も10人にPCR検査を行って、2人の陽性者が見つかっています。発熱外来と一般外来、そしてワクチン接種を同じ診療所で行うためには、時間的、空間的な動線を明確にわける必要があります」

いまは平日の11時半~12時半の診療時間にワクチン接種時間を設け、その時間帯の外来は原則休みにしている。それ以外の診療時間は通常の外来とし、コロナ感染疑いの人たちが来院する発熱外来は完全予約制だ。

そもそも、発熱外来を実施する診療所でワクチン接種をするのは望ましくないと考える和田医師。一般の方がワクチン接種のためだけ大勢、来院するのはリスクが高いためだ。ただ、日ごろ診ている基礎疾患がある患者への接種は主治医として責任を持って行うと、かかりつけの患者に接種を限定したという。

「そこは診療所ごとに役割が違っていいと思っています。当院では予約を受け付けるのは1日6人、多くて12人ですが、逆に発熱外来を設けていない診療所では、1日に30人とか、36人とか、多くの方に接種してほしい」

ワクチン接種は6人分がひとまとまり

なお、練馬区が個別接種で使用するワクチンは、ファイザー社製のコミナティ。診療所は2週間に1回、必要なバイアル数(1バイアル6人分)を練馬区の担当部署に発注し、その翌週にシリンジや注射針とともに届く。

当初、ファイザー社製のワクチンはマイナス60~90℃で保管する必要があるとされていたが、現在はマイナス15~25℃での保管でよくなった。診療所にある一般的な医療用の冷蔵庫の冷凍室が使えるようになったため、保管に関する障壁もクリアになった。

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