新型コロナは既存動向を加速させる
歴史的に見て、経済危機とパンデミック(世界的な感染拡大)は既存の動向を鈍化させることが多かった。さらには逆転させたケースもある。新型コロナウイルス感染症はその例には当てはまらない。なぜなら、パンデミック以前の動向をたいてい加速させているからだ。
高齢化を考えてみればいい。パンデミックとそれに伴う景気後退によって、若い男女が子どもを持つことを先送りするようになり、人口ピラミッドの高齢世代が徐々に膨らんでいく。
また、パンデミックは東アジアの新興市場国の台頭を加速させた。というのも感染者数、入院患者数、犠牲者数のどれをとっても、世界のほかの地域、とりわけ欧州とアメリカよりも少ないからだ。
さらにパンデミックは、技術を使って働き、学び、買い物をし、楽しむ傾向を強めた。その結果、『2030』で分析した人口動態的、経済的、技術的な動向は加速し、『2030』で描いた2030年の世界はより早く到来する。
自称専門家たちによれば、パンデミックは小売りを消滅させ、通勤や通学を終わらせ、グローバリゼーションの逆転をもたらすという。コロナ危機の傷痕は生涯、そしてその先まで消えないだろうというのが私の考えだが、さまざまなデータが揃うまでは多くの転換を大袈裟に取り上げたり、唱えたりしないことが重要だ。
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