オリンピック後の日本「コロナ危機」はどうなるか コロナ危機5つのステージから今後を考える

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その趨勢は、前ステージで始まった変異株拡散とワクチン接種拡大のせめぎ合いの結果、どちらが優位になるか次第で決まるだろう。

それは、デルタ株などいかなる変異株に対してもワクチンの有効性が揺るぎないのかという科学的な変数に影響されるだけではない。いかに陰謀論やデマなどに基づく反ワクチン運動を抑え、社会におけるワクチン接種率を高めることができるのかという接種人口という変数にも影響される。

その結果は、各国の中央政府・地方政府・医療従事者に加え、メディアの報道にも大きく影響されるだろう。また、他国と異なり、日本は同じ時期に東京オリンピック・パラリンピックの開催という独自の変数も有している。

秋から年末にかけて日本はどうなる?

<第8ステージ(2021年10月〜12月末頃)>

本年秋から年末にあたる第8ステージ以降の日本の状況はどのようになっていくのだろうか。

第7ステージの結果は、秋ごろに行われると予想される衆議院選挙(10月21日任期満了)をめぐる政局にも大きく影響し、本ステージは新体制の内閣によってコロナ対応が行われる。ステージの終わりごろ(年末ごろ)までには日本国内でワクチンが広く普及し、大規模の感染の波が抑えられるという状況を期待したい。

<第9ステージ(2022年1月以降)>

そして、来年初頭より始まる第9ステージは、1月中旬の通常国会の開始と重なる。そこで初めて腰を落ち着けて、日本の感染症危機管理体制の抜本的改革に関する議論が行われるか注目したい。新型コロナ危機に加え、次なる感染症危機に向けて、日本が一流の危機管理国家として生まれ変わるのか否か。

ちょうど世界でも、国際社会の感染症危機管理の抜本的改革を目指し、11月のWHO総会特別会合で新たな国際パンデミック条約の交渉を開始することに合意したうえで、本ステージから本格的な外交交渉が始まることが予想される。日本も世界も、改革の年である。

阿部 圭史 政策研究大学院大学 政策研究院 シニア・フェロー

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あべけいし / Keishi Abe

政策研究大学院大学 政策研究院 シニア・フェロー、医師。専門は国際政治・安全保障・危機管理・医療・公衆衛生。国立国際医療研究センターを経て、厚生労働省入省。ワクチン政策等の内政、国際機関や諸外国との外交、国際的に脅威となる感染症に対する危機管理に従事。また、WHO(世界保健機関)健康危機管理官として感染症危機管理政策、大量破壊兵器に対する公衆衛生危機管理政策、脆弱国家における人道危機対応に従事。著書に『感染症の国家戦略 日本の安全保障と危機管理』、『コロナ民間臨調報告書』(共著)。北海道大学医学部卒業。ジョージタウン大学外交大学院修士課程(国際政治・安全保障専攻)修了。

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