地方都市は「ほどほどパラダイス」になった! 地方の若者におけるイオンモールの存在感

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イオンモール倉敷の駐車場

「ほどほどに快適な地方都市」ができた

――商業施設を次々と移動できるのは、車での生活が中心だからですね。

車抜きには語れません。地方の若者の消費生活の前提となるが、モータライゼーションです。これによって地方の商店街が消失しました。

若者はイオンモールに友達や家族、あるいはカップルで行きます。最近、「ヤンキー化」と言われているように、地方の若者は地元の仲間や家族が大好きで、友達や親との人間関係が非常に濃密です。

一方、地域とのかかわりは非常に希薄になっていて、昔の商店街のような、ちょっとわずらわしい関係がなくなった。それが若者にとって、地方の魅力を高めているのです。

昔だったら、「つまらない地方」と「刺激的な大都市」のふたつしかなかったのが、今はその間に「ほどほどに快適な地方都市」がある。田舎ほど不便ではなく、大都市ほどごみごみしていない。地方都市はバランスの取れた「ほどほどパラダイス」になりました。

地方の若者は、地域の人には興味がなく、商店街は消滅したか、もしくはあっても行かない場所になった。仲の良い友達や家族と車に乗って出かけてしまえば、都会と大して変わらない快適な場所に行けてしまいます。

――田舎と都会の「いいとこ取り」ができる。

1970年代、80年代の青春映画なんかを見ると、地方の田舎というのは、昔ながらの人間関係にしばられていて、しがらみだらけで、若い人たちにとっては非常に息のつまる場所でした。大都市に出ていくのは、地元を捨てること、しがらみからの解放を意味し、大都市には刺激的な人間関係や面白いものがたくさん待っていた。

それが今は地方のモータライゼーションによって、「しがらみのない田舎」ができたのです。しがらみのない田舎での人間関係って、友達と家族だけです。それにイオンモール的な場所が加わり、地方都市がものすごく快適な場所になりました。

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