バイデン大統領は中国への強硬策をやめられない 新政権の政策を「予言」した米国政治学者に聞く

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トランプ前大統領と違い、バイデン大統領(中央)の「中国カード」の切り方には首尾一貫したわかりやすさがある。(写真:ブルームバーグ)
先ごろ閉幕した先進7カ国首脳会議(G7サミット)で、中国の広域経済圏構想「一帯一路」に対抗し、新興国のインフラ構築支援で民主主義国が結集することを呼びかけたアメリカのバイデン大統領。政権発足から約5カ月が経過し、「中国との競争」「民主主義陣営の結束」の2つのキーワードを軸に内政と外交を展開していることがはっきりしてきた。
昨年2月、アメリカの『フォーリン・アフェアーズ』誌(電子版)に掲載された「左派は中国カードを使うべきだ」という論文は、こうしたバイデン政権の政策を予言していたものとして注目される。共著者の1人、ブルッキングス研究所フェローのタルン・チャブラ氏は今年、バイデン政権に入り、国家安全保障会議の技術・国家安全保障担当シニアディレクターになった。チャブラ氏とともに論文を執筆したアメリカ・スワースモア大学教授のドミニク・ティアニー氏に話を聞いた。

バイデンの特徴は内政と外交政策の密接な結びつき

――バイデン政権の中国政策とはどんなものでしょうか。

アメリカでは、中国戦略において関与政策(engagement)を採るべきか、競争政策を採るべきかというのが近年の論点だった。2000年代のブッシュ(子)政権では関与政策が支配的だった。彼らが実際に使ったフレーズとしては「中国には責任あるステークホルダーになってほしい」というものがある。しかしこの10年くらいは民主、共和両党とも競争政策の方向に動いた。その大きな流れの中にバイデン政権もあり、支配的なパラダイムは競争だ。

(注)関与政策:軍事的な脅威が大きくない相手国に対し、経済発展などの側面支援を行いながら、民主主義や基本的人権の尊重といった自分たちの価値観に基づく国際社会に取り込む外交政策

バイデン政権を読み解くポイントは、国内政治と外交政策が強く結びついていることだ。バイデン政権は、中国政策を成功させるカギは、(アメリカの国力を再強化するため)国内のインフラ投資や政治改革を成功させることにあると信じている。加えて中国との競争が、そうした法案可決や国内改革で共和党からの支持を得るためのカギになるとも考えている。「中国との競争」という新パラダイムを取り込む形で国内政治と外交政策が密接に関係し合うようになった。

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