バイデン大統領は中国への強硬策をやめられない 新政権の政策を「予言」した米国政治学者に聞く

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――日本の役割についてはどう考えますか。

外交において、バイデン政権がトランプ政権と最も異なるのは、多国間主義を重視することだ。国際機関と何十年も一緒に仕事をしてきた彼の政治人生をみればわかるが、バイデンドクトリンは、個人的な信念に基づく多国間主義のセンスにあると言っていい。中国政策でも同様だ。彼は、日本や韓国、台湾、豪州を中国政策で欠かせない存在だと見ている。

しかし、もちろんジレンマもある。第1に今後、アメリカが中国とある程度経済的にデカップリングするかもしれないときに、アジアの同盟国は中国との経済的関係に熱心であろうということだ。日本は1990年代から経済的な長期停滞が続き、中国との関係は非常に重要だ。多国間主義は、アメリカの関心が必ずしも同盟国の関心と重ならないという問題に直面する。

第2のジレンマは、日韓の歴史問題のように同盟国同士で何らかの対立があることだ。アメリカはこれを調整しようとして、同盟国間の争いに巻き込まれるかもしれない。

アメリカのTPP再参加はありうる

アメリカがTPP(環太平洋パートナーシップ協定)参加を再考することは十分に予想できる。雇用への悪影響といった国内要因により、アメリカはTPPから離脱した。しかし中国との競争がより支配的なパラダイムになれば、アメリカはアジアの同盟国との協力がもっと必要だと考えるようになる。1940〜1950年にはソ連との敵対関係が、NATO(北大西洋条約機構)やマーシャルプラン(欧州経済復興計画)を生むカギになったことを思い出してほしい。中国との競争では、アジア同盟国との貿易協定にもっと積極的になるだろう。

――中国は、早ければ2020年代中にも人口減少が始まるとの予測があります。

少子高齢化は、年金や医療保険など社会保障政策に影響を与える。日本で大きな課題になっているが、中国でも今後大きな問題になってくる。一方、アメリカは日本や中国などに比べると、人口動態的な危機とは距離がある。このアドバンテージは戦略的に非常に重要かもしれない。

最近、中国は産児制限を3人まで緩和した。また共産党政権は、台湾や南・東シナ海など対外政策に非常に焦点を合わせているが、それは人口動態を背景とした国内危機を防ぎたいという面もあるだろう。

野村 明弘 東洋経済 解説部コラムニスト

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のむら あきひろ / Akihiro Nomura

編集局解説部長。日本経済や財政・年金・社会保障、金融政策を中心に担当。業界担当記者としては、通信・ITや自動車、金融などの担当を歴任。経済学や道徳哲学の勉強が好きで、イギリスのケンブリッジ経済学派を中心に古典を読みあさってきた。『週刊東洋経済』編集部時代には「行動経済学」「不確実性の経済学」「ピケティ完全理解」などの特集を執筆した。

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