日本サッカー界「YouTubeテコ入れ」の切実な事情

観客制限が続き「サッカー離れ」に危機意識

「視聴者はコメント欄への投稿とスーパーチャットの投げ銭も可能で、その金額は数百円~数万円単位に上ることもあります。クラブとしてはサポーターとの共有時間を増やすことで、コロナ禍で失った目に見えない距離を少しでも埋めようと努力しています」とクラブ関係者も言う。

投げ銭は年間500~1000万円に上る模様で、入場料収入激減の今は無視できない。今後、やり方によっては複数の協賛がつく可能性もあるだけに、FC東京の取り組みは参考になりそうだ。

日本サッカー協会も公式YouTubeを開始

動画配信強化はJクラブに限ったことではない。日本サッカー協会も2020年10月から公式ユーチューブチャンネル「JFATV」内で日本代表の密着動画「日本代表Team Cam」のデイリー配信を開始。今年からは東京五輪を目指すU-24日本代表、なでしこジャパンも同様の試みに取り組んでいる。

日本代表戦はかつて「ドル箱」と言われ、2002年日韓ワールドカップ(W杯)の日本対ロシア戦で66.1%という驚異的な視聴率を記録した通り、1993年Jリーグ開幕以降、日本代表戦は長きにわたって国民の注目の的でありつづけた。

が、2018年ロシアW杯ベスト16入りの後、本田圭佑(ネフチ・バクー)や香川真司(PAOK)、長谷部誠(フランクフルト)など知名度の高い選手が相次いでチームを離れたこともあり、代表人気の低下が懸念されていた。そこにコロナ禍が襲い、日本サッカー協会としても手をこまねいているわけにはいかなくなったのだ。

配信に至る経緯を小暮亮祐・同プロモーション部長が次のように説明する。

「協会としても代表を取り巻く環境を再検証しなければならないと考え、約2年前からファン層の整理に着手しました。今は①フォロワー、②ライトファン、③コアファン……の3段階で位置づけています。①はW杯や五輪など日本中の注目時に観ていただける方、②はW杯予選や五輪予選なども関心を寄せる方、③は代表戦をつねに追いかけてくださる方という考え方です。

①→②→③と段階を上げていっていただくために、できることはないかという議論も2019年秋から本格化させ、協会内の若手・女性職員も参加する形でワークショップを実施。試合会場でもアンケートを実施したところ、好きな選手が複数になるとチームのことも好きになるという事実がわかった。それを踏まえ、選手やチームの裏側をファン目線で伝える試みが必要という判断に至り、数年前からあった『日本代表Team Cam』のリニューアルを決断。2020年10月の日本代表の欧州遠征時からスタートさせました」

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