日本サッカー界「YouTubeテコ入れ」の切実な事情 観客制限が続き「サッカー離れ」に危機意識

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2016年8月から配信開始し、月間最大1500万回再生、チャンネル登録者数60万人という驚異的な数字を叩き出した日本一の野球チャンネル「トクサンTV」の仕掛け人であり、出演者でもある株式会社ケイコンテンツ社長の平山勝雄氏も「コロナ禍の今、動画などでスポーツとファンが接する時間を確保しようというスポーツ団体の努力やアクションは非常に重要」と強調する。

「ファンからすると試合だけを見ていればいいという時代は終わった。その現実を踏まえて、提供する側は裏側も含めたコンテンツ力を駆使してファン囲い込みをする必要が出てきたと思います。ただ、人々のスポーツに費やせる時間は変わらないので、『ただ流せばいい』というわけではない。

視聴者が納得し、引き込まれるようなプロクオリティの動画であるべきだと私は考えます。『トクサンTV』もつねに高い意識を持って制作に取り組んでいます。その観点で言うと、日本サッカー協会の試みはすばらしい。よりそういうアプローチがスポーツ界全体に求められるのではないでしょうか」

成功モデルにヒント

スポーツと動画というのは親和性が高い。それをうまく生かすことができれば、新たなファン層獲得にもつながるはず。人々をアッと驚かせるような斬新なコンテンツを作り、視聴に結びつけるのは容易ではないが、「トクサンTV」のような成功モデルの中にヒントは隠されているはずだ。

「『隣のお兄さんに野球を教えてもらえる』くらいの気軽さが共感を呼んだのでしょうし、野球を通じた人間的成長や新たな学び、ストレス発散といった意義も多数の人々に訴えかけるものがあったんだと思います」と平山さんはヒットの秘訣を分析する。

こうした観点を各競技団体やプロスポーツクラブも取り入れ、新たな発信のアイデアを模索することから初めてみてはどうだろうか。

元川 悦子 サッカージャーナリスト

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もとかわ えつこ / Etsuko Motokawa

1967年、長野県生まれ。夕刊紙記者などを経て、1994年からフリーのサッカーライターに。Jリーグ、日本代表から海外まで幅広くフォロー。著書に『U-22』(小学館)、『初めてでも楽しめる欧州サッカーの旅』『「いじらない」育て方 親とコーチが語る遠藤保仁』(ともにNHK出版)、『黄金世代』(スキージャーナル)、『僕らがサッカーボーイズだった頃』シリーズ(カンゼン)ほか。

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